第13話 敵が強すぎるんだが?

俺はあまりの威力に一瞬気を失っていた

飛ばされる勢いは最初の蹴りとは比べ物にならず、俺は背中の少女を前に抱えて、自分が盾になるように守る。


風切り音が耳に響くのを感じる


瞬間、壁を貫く

背中に激痛が走り俺は、崩れた壁の奥で

後ろ向きに倒れる


なんだ、あの化け物、、、


俺は聖者の微笑みの暗黒のオーラが自分の体を癒すのを感じるが、ダメージが大き過ぎて間に合っていないのを感じた。


俺は少しずつ収まる痛みに苦心しながらも相手のことを分析する。


恐らく、何かの天啓により強大なバフとデバフを与えることが出来るようだ。

強化の意思を口に出すことでバフがかかる

バフは1種類しか反映されないこと

デバフは効果時間が短い


恐らくこの3つが条件だが

それを持ってしても強化倍率とそれを扱う体術

あまりにも狂ってる。


俺は打開策を!と周りを見渡すとそこは様々な武具や装備が置かれていた。それは看守のものというより投獄される際に没収されたものだと考えられる。


そんなことを考えていると魔族の少女がいつの間にか武具を持ち俺の前に来る


「パパ!」


俺は手渡された物を見て驚く、それは俺が投獄される際に没収された鎧と盾


それは【冒険の誓】に全員が所属した際に揃えた物。そう俺は負けれない、こんな監獄で燻る訳には行かない、いつかみんなと何の枷もなく会うために!


俺は少女に一言、ありがとう、!と言ったあと

手馴れた手つきで装備を着る

盾があるならば武技も使える!ならば可能性は十二分に!


装備を着て、俺はあることに気づく

それは魔力の流れが明確に感じられる事と、魔力自体が増えていること


俺は少女を見る、すると少女はよく分かっていないのか首を傾げながらも「パパ?」と言っている。パパじゃないんだがなぁ


俺は少し緊張していた心が解れたのを感じる

その様子を見ていた少女が俺に触り、先程よりも魔力が注ぎ込まれるのを感じる


その魔力はよどみなく俺の体の中を巡る

俺は感謝の言葉をまた口にする


「ありがとう」


そして俺は少女を見つめつつ言う


「君は絶対に守る」



少女は俺の言葉を聞いて嬉しそうに笑う


俺はもう一度、身体強化とスキルを使う

装備があるなら他のスキルも使える!

まだ可能性はある!


「【聖なる鎧】【聖者の微笑み】【十字架の誓】」


俺は全身から暗黒のオーラが溢れ出てくるのを感じる。暗黒のオーラは森で試した時よりも何倍も溢れ出ている。


【聖なる鎧】の効果で

防具が暗黒のオーラに包まれる。仮初の鎧では無く、本当の鎧と暗黒のオーラが融合する。


【聖者の微笑み】は先程のものよりも俺の体を癒し、そして高揚感を与える


【聖騎士の誓】により

俺の盾を一際濃い暗黒のオーラが侵食した

そして防具とは違い漆黒とも言えるほど黒く

光沢があるように感じる


そして壁の瓦礫の奥からカッカッとヒールの音が聞こえる。


「驚いたな、この一撃を食らって意識があるとは、、、、高位魔族でも意識を失うのだがな」


ギルディアは驚きと呆れが混ざった様子で俺を見ながら言う


「しかも先程よりも魔力が洗練されている、そしてその姿、、」


俺は自分の姿を見る。暗黒のオーラを身に纏い

暗黒の鎧と漆黒の盾を携えている

どこからどう見ても

完璧に暗黒騎士だった、、ちくしょう!


「はぁ、、つくづく厄日だ」


ギルディアは溜息をつきながら俺を見る

俺もギルディアを見る


「あの娘はこの先にいるが、絶対にお前をここから先には通さない」


俺が強気に出ると思っていなかったのかギルディアは呆れながらも言う


「そうかそうかご忠告ありがとう、それよりも貴様は私に命令できる立場だと思っているのか?」


ギルディアがこちらを睨む

場の威圧感が増すのを感じる

俺は手に馴染む盾を構えつつ、ギルディア睨み返す


静寂を破ったのはギルディア

先程と同じように一言


「〈私は速い〉」


ギルディアが助走をつけながら高速で動き

俺に接近し蹴りを放つ

長い廊下を使い十分に加速したことにより生まれるスピードにより

蹴りはとてつもない威力がある

俺は盾の持ち手を

ナックルダスターのように握り

その一撃に対抗する


暗黒の一撃と神速の蹴りがぶつかり合い

とてつもない威力のぶつかり合いに

衝撃波が生まれる


【聖騎士の誓】により強化された盾により

俺はギルディアの一撃を相殺することが出来た


ギルディアは威力を打ち消されたことに焦りもせず、高速移動で間合いを取る


「貴様、随分と盾の扱いが上手いじゃないか」


ギルディアは体を低くし隙を伺いながら言う

俺はそれに応じながらフリスビーを投げるように盾を構える


「ああ、そうだろ?8年間ずっとこれだからなッ!!」


俺は盾を振りかぶる、そして漆黒の盾の残像が実態を成して、暗黒の魔力が斬撃のように飛ぶ


「ッ!」


ギルディアはとっさに身を低く屈めて、斬撃を避ける


「悪いが盾の扱いなら誰にも負ける気はしない」


武技〈飛盾〉は隙もデカいし、そう何度も通用しないだろう。相手は徒手空拳、遠距離はない。求められる結論は


「「近距離戦!」」


ギルディアと俺の声が重なる


勝負も大詰めになってきた!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る