第12話 突然ピンチなんだが!?

俺は周りを見渡す、看守に囲まれている状況、

後ろに傷だらけのゴーラと気を失ったアイラ、目の前には看守の中でも一際高身長な女の看守がいる。

胸には複数の勲章のバッジ、

他とは違う装い

こちらを見る目は驚愕により見開かれているが、目尻は吊りあがっていて厳しい印象を与える。


「エ、エルグ!お前、、、!」


ゴーラは何が起きたが分かっていない様子だが

構えは解かず目の前の看守を警戒している


周りの看守は状況が分からず、硬直している。


その中で装いの違う女の看守が言う


「貴様、、!その娘が何なのか分かっているのか?」


装いの違う女の看守が地に響くように言い、目尻がさらに吊り上がる


俺はそれを言われて自分にしがみつく魔族の少女に目を向ける


魔族の少女は状況を理解してないのか俺にしがみつきながら「パパ?」と言っている

何だこの可愛い生き物


「気をつけろエルグ!そいつは看守長ギルディアだ!」


俺はゴーラの声を聞き、途端に警戒心を高める


ギ!ギルディア!?こいつが看守長の!?


俺はとっさに身構えながらいつもより調子の良い身体強化で相手を警戒する

暗黒のオーラを纏う俺に看守は後退りし、それを見たギルディアは睨みながら言う


「暗黒の魔力、暗黒騎士か」


ギルディアは溜息を吐きながら話す


「暗黒騎士と関わりがあると思われる男が投獄

された聞いたがまさか暗黒騎士とはな」


ギルディアは呆れた様子で構える


「しかしやることは変わらない、貴様ら逆賊をここで処すだけだ」


その瞬間、ギルディアからとてつもない威圧感を感じる。俺は人生でも感じたことの無い迫力に覚悟を決める


「おい、エルグ、ギルディアの時間を稼げ、その間に俺が看守を減らす」


ゴーラがアイラを背負いながら言う。


俺はゴーラに言う


「任せとけ」


俺も魔族の少女を背負い、スキルを発動する


「【聖なる鎧】【聖者の微笑み】」


暗黒のオーラが俺を包み込み、暗黒の鎧を纏う

そして暗黒のオーラが俺の傷を癒す


【聖なる鎧】で防御力を高め、【聖者の微笑み】で常時回復、準備は出来た、、、!


それを見ていたギルディアは一言


「〈ゴーラを処せ〉」


その言葉により周りの看守は身体強化とも違う

何かにより強化される

周りの看守は一斉に動き、ゴーラに襲いかかる


先にゴーラを狙うのか?


ギルディアにより強化された看守たちは

四方八方からゴーラを狙うが、手負いのアイラを背負っていてもゴーラは素早く動き

看守を一撃で何人も吹き飛ばしているが、すぐに起き上がる、まるで血に群がるグールのようだ、、


そして俺に狙いを定めたギルディアは後ろの少女と俺を見ながら言う


「貴様が背負っている女は魔族だ、しかも最高位のな、、それを暗黒騎士に連れていかれようものなら我々は一貫の終わりだ、ならばこそ貴様はこの私が直々に潰す」


最高位の魔族?だからなんだ

こんな幼い少女を機械の部品みたいにしていい理由にはならない!


ギルディアは変わらず睨む俺を見て

こちらを睨みながらさっきと同じように一言



「〈私は速い〉」



その瞬間、ギルディアは高速で動いた


それ自分にも使えるのかよ!?


俺が驚いてる間に、一歩で俺の目の前まで詰めてくるギルディア


「はやッ!」


ギルディアの強烈な蹴りが腹に決まり、群がる看守を飛び込えて、通路の奥まで飛ばされる

腹に走る激痛を堪えつつ、【聖者の微笑み】

で痛みが和らいでいくのを感じる

俺は空中で体制をなんとか立て直し、着地する


「なんて、パワーと速さ、あいつはヤバい!」


俺が戦慄していると、魔族の少女が声をかける


「パパ?」


魔族の少女の声により俺は集中を深める

あぁ、そうだ俺は覚悟を決めただろ、この娘を守るって、守るならば防戦一方じゃ無理だ


覚悟をさらに固めると体から溢れる暗黒の魔力が更に増える。俺は何故と思っていると、

魔族の少女の手から魔力が流れていることに気づいた。


先程までとは段違いに出力のあがった身体強化に【聖なる鎧】と【聖者の微笑み】に

笑みがこぼれる。

これなら行ける!!


そんな様子を見ながらもギルディアは

奥から素早く上品に歩いてくる

ヒールの音がカッカッと響いている


「先程よりも力が増したようだな」


ギルディアはさっきと同じように一歩で俺の眼前まで迫るが、さっきより格段に見える!俺は拳を握り、蹴りを避けて殴りかかるが、ギルディアは身を低く翻し

蹴りを入れた足を入れ替えて、その動作で俺の拳を避けて踵蹴りを入れてくる


そんなのありカッッ!


俺は腹部に感じる強烈な一撃をモロにくらい

仰け反りながらも、その場に踏とどまる


それを見たギルディアは少し気だるそうに言う


「どうやらこれでは仕留め切るには時間がかかりそうだ、ならば〈私は力がある〉」


ギルディアはさっきとは違い、俺に向かってステップを刻むように走ってくる。明らかにさっきより遅いが、あの言葉が本当なら、、


俺は目の前に来たギルディアの拳を、直感的に飛び退いて避ける。


ドゴォォオン!


土煙が舞い、ギルディアの殴った場所はクレーター状に凹んでいる。


次は破壊力か!?あれを食らったらひとたまりもないぞ!!


俺は拳を避けつつ、なんとか時間を稼ぐ


「しぶとい奴だ、ならば〈動くな〉」


俺は途端に体が一瞬硬直する、その瞬間ギルディアは俺の目の前に来て拳を振りかぶる

下からのボディーブロー


時間が長く感じる。その拳は俺の鎧を突き破り

俺の腹に直撃する


俺は踏みとどまれず後ろに飛ばされながら思う



敵が強すぎるんだが、、、?





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