第11話 目が覚めたらパパになってたんだが?
「ぅ、ヴん?」
俺は誰かに体を揺さぶられて目を覚ます
身体がいつもより軽い?
俺は目を開くと光が目に入り、目を閉じる
「パパ?」
俺は唐突にパパ?と呼ばれたことに困惑しつつ眩しい光を耐えながらも目を開ける
目が慣れてくると、そこにはボロ布のような服をまとった少女
紫の髪は光が反射し、幻想的に見え
黒い2本のツノは光を通さず、存在感を現し
そして陶器のような白い肌に、吸い込まれるような赤色の双眸
俺はその瞳を見つめたまま動けなかった
「んっ?パパ?」
俺はパパと呼ばれたことにより急に正気に戻り
途端に聞き返す
「ぱ、パパ?」
俺がそう言うと少女は無表情ながらも少し口角が上がりパパ!と何度も繰り返す
「パパ、、、!パパ、、!!パパ!!」
俺は理解が出来なくて、深呼吸して心を落ち着かせる。ダメだ全然落ち着かない
「俺は、パパじゃないよ〜?」
俺は子供をあやすように言うが、どうやら伝わらずパパ!と言い続けている、これはどうにもならなそうだな、、、
俺は少し思案していると、ふと自分が作戦の最中であることを思い出す!
「そうだ!まずい!作戦は成功したんだろうか?」
俺はそう思い周りを見渡す。魔力の流れは途絶えているようで、中央の円柱は変わらずに鎮座しているがどうやら少女がいたところの裏には様々な器具があったようだが、管をひきちぎったことで壊れてしまったようだ。
「とりあえず成功したようだが、どうやってさっきの場所まで戻ろうか、、、」
俺は帰り道が見当たらず、悩んでいると
少女が手を引っ張る
「パパっ」
少女は俺を手引きして、中央の円柱の所まで向かう。そして自分が拘束されていたところを指さす、壊れてしまった管が垂れ下がっているが
その中心には後から溶接されたような跡がある
「これは」
行けるかもしれない、ここで戸惑ってる時間はない!
俺は決意を固め、身体強化で体に暗黒のオーラを纏い、拳を固めるが
不意にそこで少女が俺の手に触れると、暗黒のオーラが普段よりも多く溢れる
「なっ!?」
そして俺の体には力が漲り、全能感で満たされる。これは、、、魔力が増えている?
「なにかの天啓か?しかし好都合だ!」
俺は普段以上に漲る力で溶接された部分を殴る
バゴォンッッ!
鉄の壁が勢いよく凹み、溶接された部分は
耐えきれず、円柱の中に落ちていった
「とりあえずこの中に落ちるしかないのか?」
俺は不動の聖壁を発動し、暗黒の膜で自分を包む
ガシッ
俺は飛び降りる前に足を掴まれて、その場に止まる
「パパ?」
少女は不安そうな顔で俺を見つめている
そうだ、こんな場所に1人で魔道具に閉じ込められていたんだ、不安で仕方ないはずだ。
俺は決意を固め直し
少女を片手で抱き上げる
少女は「うぉー?」と変な声を上げている
俺はそのまま円柱の中に飛び降りる
「うぉおお!」
俺は最初に入った円柱よりも大きいからか
浮遊感に驚きつつも、どこかに向かい引っ張られるのを感じる
少女は「うぉー」と声を上げて喜んでいるようだ。俺はそのままものすごい勢いで引っ張られていくのを感じる。そしてどこかの曲がり角で勢いがグンッとあがり、円柱を突き破りどこかの広間に出る
「なっ!!」「うぉ!?」
女と、ゴーラの声が聞こえる
土煙が落ち着き、周りを見渡すとそこら中に看守がおり、囲まれている。その円の中心に傷だらけのゴーラと気を失ったアイラ、そして他とは雰囲気の違う装いの違う女の看守が立っている。
逃げ出したと思ったら絶体絶命のピンチなんだが!?
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