第8話 作戦で一番重要なところなんだが?

俺の悩んだ表情とは裏腹に男は言う


「それで仲間になってくれるのか?」


俺はそれを聞かれて現状を考える

これから監獄でどうなるかも分からないで過ごすよりも、ここで行動を起こすべきなんじゃないのか?俺は悩むがそこで一人の女を思い出す


「悪い、考えさせてくれ、他にも仲間に誘われているんだ」


男はそれを聞くと訝しんだ顔をして問う


「誰に誘われたんだ?」


男の威圧感に耐えきれず俺は少したじろぐ

俺は正直に言う


「名前は知らない、やけにテンションの高いピンクの短髪の女だ」


俺は自分の知っていることを全て話した

男はそれ聞いて納得したように頷く


「あぁ、そいつは俺の娘だ」


俺は予想の範囲に無いことに驚かされる

まさかの娘!?この大男のか?!


俺は驚きが抜けきれず、硬直してしまった


「む、娘?」


俺はわけも分からず聞いてしまう

男は自慢げに語り出す


「そうだ、俺の娘だ。天使のような娘でな!いつも元気で優しい子だ!」


俺は疑問に思う、そんな子がなぜ第3房に、、、

俺はその疑問をそのまま口にする


「なぜ、お前達は監獄にいるんだ?」


男は少し、複雑そうな顔をしながら話し出す


「俺達はな、魔法が使えないんだ」


魔法が使えない?身体強化は使えているはずだから魔力はあるはず、、?


「魔法といっても、体外に出す系統の放出系と言われるやつだ」


放出系、魔法で言うと炎や風を巻き起こしたり

大地を操り、水を放つなど様々なものが当てはまる


なぜそれが投獄される理由になるんだ?

俺は理解が及ばず口をつむぐ


男は続けて語り出す


「お前さん、恐らく王都か?聖都のやつがここに来るわけも無いしな、ならば帝国の内情は詳しくは無いんだろ?」


俺は自分の出自について当てられて驚きつつも

内情についての興味が湧く


「帝国は最近では魔道帝国と呼ばれ、世界でも随一の魔法技術を誇っている、そして俺達のように魔法を使えないもの達を【魔なし】と言い差別している」


俺はそのことを聞いて驚く、王国では魔法が使えなくても武技などの技術を磨く武人が尊敬されているからだ、なのでこれほどまでの身体能力を持つ原石とも言える男が帝国で差別されていることが理解できなかった


「魔王軍がいる頃は差別も激しくは無かったさ、しかし魔王が死に大賢者により魔法技術が発展する中で魔法を使えないもの達は迫害され差別されていった」


俺は心がチクリと痛む、平和のためにと大手を掲げて戦ったハル達が掴んだ平和が、こんな事を生み出していたことが許せなかった


「そんな俺たち【魔なし】は肩を寄せあい細々と生きてきたが、アイツらが俺の娘に手を出そうとして、娘が怪我を負わせた、それに憤慨した奴らが国中に言いふらしたんだ、「魔なしが襲いかかってくるぞ!」ってな、そして俺達に露骨な嫌がらせをしてきた、俺達は我慢の限界だったんだ」


男は静かな怒りを持った低い声で語る


「だから俺達は反抗した、魔なしではなく

【レジスタンス】として」


レジスタンス、つまりはデモか


「レジスタンスにはほぼ全ての魔なしと呼ばれたもの達が集まった、そして国に反旗を翻したんだ、しかし、、、」


男は下を向きポツリポツリと言葉を零す


「大賢者率いる帝国軍には叶わなかった、そして俺達は全員この監獄に閉じ込められた」


俺はその話を聞いて理不尽に憤る、そんな勝手が許されるものかと、俺は男の目を見る


目を見つめる俺に男は見つめ返す


「仲間になろう」


俺はそう男に伝えた

男は先程の辛そうな雰囲気を忘れたかのように笑う、そして思い出したかのように聞いてくる


「そういや仲間になるってのに名前を聞いてなかったな、俺はゴーラってんだ」


男は握手を求めつつ名前を尋ねてきた

俺は握手に応じながら答える


「エルグだ」


男は名前を聞いて喜びながら言う


「そうかそうかエルグか!ちなみに脱獄の決行は明日の昼食後だ!よろしく頼むぞ!」


俺は衝撃のあまり身体が硬直する


脱獄が明日決行なんだが!?

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