第2話 目が覚めたら俺は裏切ってたらしい?!

俺はそれから1ヶ月間この村で情報を集めつつ過ごした、正確な現状が把握できてないのもあるが、、、何よりの理由が


「俺が勇者パーティを裏切り魔王軍に与した

暗黒騎士として扱われてるなんて、、、!」


そう俺は四天王メルギァに洗脳され、暗黒騎士として名を馳せていた。

しかも勇者パーティに何度も挑み戦況を狂わせてきたらしい、、、


「あーーもう!こんなのどうしたらいいんだ!」


俺は感情のあまりに手に持っている新聞を強く握りしめる


「おい兄ちゃんどうしたんだ?新聞を握りしめて?」


そうすると不思議そうにこちらを見る門番の

ウォルがいた

彼はタイムスリップしたかのように常識がズレている俺に様々なことを教えてくれた

しかしだ


「まぁ〜た勇者様の新聞読んでんのか?」


ニヤケながらウォルは俺にそう言ってくる

そうこいつは俺が勇者のちょーーぜつ!

熱烈なファンであると誤認している

いや間違いでは無いのだがしかし何だ

こうも小馬鹿にされるとイラッときてしまう


「あぁそうだよ」


俺はぶっきらぼうにそう答え顔を背ける


「そうかそうか!でも珍しいなお前みたいな奴は王都に行って勇者様のパレードに参加してるんだがねぇ」


そう王都では連日連夜勇者様、、ハルがパレードを行っている、俺も新聞の見出しで見たが

俺の知ってるハルとは大きく違い、俺たちが

やってた頃に持ってた鎧や剣も大きく変わっていて本当に勇者様になったんだと嫌でも確認させられた


「はぁ、、、」


俺は深くため息をついた

門番はそれを見て


「まぁ、なんだお前にも色々あるんだろ?顔見てりゃ分かるよ」


そう同情の目を向けてくる

しかしだ、それならば


「何回も同じ弄りしてくるのやめろよ!これ今月入って20回はしてるぞ!!」


ウォルはケラケラと笑いながら仕事場に帰っていくほんとに気分屋なやつだ


「だとしてもどーしようかなぁ、、、」


新聞でも暗黒騎士としてまだ新しく書かれてるし、今王都に行ったら十中八九袋叩きにされて

公開処刑コースだろうなぁ、、、


「はぁ、、、」


最近ため息ばかりだ、どうにもここの生活にも

限界が見えてきたし、、、、旅でもしてみるのも


「そうだな、、!旅をしよう!!」


そう!王都はダメかもしれないが他の国ならばまだ暗黒騎士としては知られてないのでは?

それならまだ可能性がある!!

しかし、、、


「ハル達が居ないのはこうも悲しいもんなのか」


俺は郷愁に胸が虚しくなるが仕方ない


「これも俺がしくじったせいだしな、とりあえず王都はやめて隣国の帝国から見て回るかなぁ」


俺はそう思い、借宿で準備を始めた



◇◇◇



次の日の明朝


一通りの支度を済ませた俺は借宿を引き払い

村から出ようと門に向かう、そうすると

ウォルが目に入る


「お?兄ちゃんついに決心はついたのかい?」


ウォルは朝早いくせしてニヤニヤと笑いながら

俺を見る


「あぁ、旅に出ようと思ってな」


俺はキッパリと言い放つ

それを聞いて門番は


「またまたぁ!勇者様が恋しくて会いに行くんだろ?」


また始まったよ、、、

ウォルは俺の呆れた顔を見てケラケラと笑いながらいう


「まぁ!なんだ!寂しくなってら戻ってこいよ!なんなら勇者様を見た思い出話でも聞かせてくれや!」


ウォルは笑いすぎて目尻に涙を浮かべながら

俺を見送る、朝なのにテンションの高い奴だ

まぁなんだ、この1ヶ月悪くなかった


「まぁ、しかし世話になったな」


俺はそれだけ言うと足早にその場を去った

ふと、後ろを向くと手を振りながらこっちを見る門番が見えた




◇◇◇





「はぁ、行っちまったか、、、」


俺は一ヶ月前に来た変な男を見送る

その男、エルグは連合軍の兵士だったからか

常識に疎く、なんと勇者様のことまで

知らなかったんだが、、、あいつ


「勇者様の新聞を見る時にやけに寂しそうな顔してたんだよなぁ」


俺はそんなあいつが放っては置けず構って構って、気がつけば1ヶ月が経っていた


あいつをからかう日々も悪くは無かったんだが

それが無くなるとは、、、


「寂しくなるなぁ、、、」


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