第8話 そんなことなら
「つまり、アンタと水口さんは友人として再スタートしてカップル解消ってことね」
「大体そんな感じだ」
俺は昨日の事の顛末を、可能な範囲で綾音に伝えていた。
「そっか、で?アンタはそれで納得なの?」
「ああ、最善だと思う」
「なら私から色々と言うつもりはないわ」
時期は5月、青々とした木々が爽やかな風を運ぶ。そんな時期だ。
俺は綾音に1つ提案をする。
「綾音、明日暇か?」
「明日は暇よ?それがどうしたの?」
「久々に2人で遊びに行かないか?」
「………ふぇっ!?」ボンッ
・・・・・・
「悪い!少し遅れた!待たせたか?」
「大丈夫よ、少し待つくらい何てことないから」
とは言いつつ落ち着かなくて30分前に着いちゃってたんだけど…
「に、にしてもアンタから急に遊ぼうだなんて何の風の吹き回し?」
「あー、えっと…それはだな…」
なんだか随分と言いづらそうだ。少し詰問してみたところ、すぐ口を割った。曰く…
「俺、女心とか全然分かんねえからさ…知る機会があった方がいいと思ったんだよ」
とのこと
「つまり私はその被験体ってわけね」
「わ、悪かった…」
「別に悪く思うことは無いわよ。でも…」
「ちゃんとエスコートする努力はしなさいよ?」
納得いかない部分もあるけど、まあ役得ってことで良いわよね?それに…隆哉が自分のために動こうとしてるのは良い兆候よね。きっと
「それじゃあ、早速行こうぜ」
そうやって歩き出そうとする隆哉を引き止める。
「ちょっと待ちなさい!」
「え?何かあったか?」
「女心知るのも結構だけど、せっかくならデートの練習も兼ねた方が良いと思うの。だから」
そう言いながら私は手を差し出す。
隆哉は戸惑いの表情を浮かべた後に覚悟を決めたのかゆっくりと私の手を握った。
自分で仕掛けておいてあれだけど…流石に大胆過ぎたかな?
・・・・・・
「ど、どうだったよ?1日遊んでみて」
「そうね…ちなみにアンタは何点だと思ってるの?」
すると隆哉は鼻をこすって言った。
「実は意外と自信あるんだよ!80点とかいってるんじゃないか?」
「30点」
「えっ!?何でだよ!?」
「そうね、なんて言うか全体的にチョイスが明らかに女ウケ意識してまーすって感じがすごかったのよね」
まあ私的には好きな人と遊べて満足なので100億万点なんですけどね!!!!
「まじかぁ…でもそう言われてもどう改善したらいいか分かんねぇよ」
「確かに経験というか慣れが必要だとは思うのよね…そうだ!」
私はグイッと一歩近づいて提案する。
「だったら私がアンタの女心の先生になってあげるわよ!」
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