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 休みの日になり、今日のお茶を仕込んでいる中で、川橋がダイニングでいつもより上機嫌にパソコンを弄っているのが見えた。僕はそのことについて尋ねてみると、川橋は随分早口で応えた。

「結構でかい雑誌で連載叶ったんすよ。もう張り切っちゃって」

 僕に手短にそう告げると、彼は足を早めてダイニングを出て行った。僕は残されたパソコンを眺めて見ると、何やら日常生活に根差した問い掛けなどがつらつらと書かれた文章が画面上の原稿用紙に規則正しく収まっていた。そのレイアウトを見ると、僕は遠藤から新しい図書館が東に建ったと聞いたことを強く意識した。そう遠く無いうちに、この文章は巡り巡ってそこの中に組み込まれていくのだろう。それを深く読み進めるより前に、戻ってきた川橋が部屋のドアを開けた。その手には風変わりなデザインの厚い雑誌が有る。

「これです。この文芸誌に来月刊から俺の連載が載るんですよ」

 文芸誌。言葉の響きに僕は高校時代を思い出す。

 当時、よく小説を読んでいた友人がいた。あの頃はあるエンターテイメント小説が大ブームを巻き起こしていて、僕もそれに影響されて種々の小説を沢山読み込んでいた時期があった。その時、元から小説に詳しかったその友人とは多くの小説を教え合ったり、感想をシェアしていたのだが、ある時彼は僕に、タイトルこそ川橋の持つそれとは違ったが確かに「文芸誌」なる響きのものを薦めてきた。

 当時の僕は、目的の作家や作品の文章量に対してページ量が多過ぎて、目的と値段が割に合わないと言って、購読するのを渋った。友人はそんな僕の発言に対して、「それで新しいお気に入りや発見に繋がるかもしれないから良いし、雑誌全体でも一冊の小説と同じくらいの値段だから寧ろお得なのに」と不満を漏らしていた。

 そんな彼は今は何処かの出版社で働いていると聞くが、川橋の連載を取り付けたのはもしかすると彼だったりもするのだろうか。そんな他愛無い思い出のことを考えていると、川橋が砕けた調子で僕に訊いてきた。

「先輩だったら、どんなネタをエッセイにしますか?」

 突然の、そして恐らく気まぐれの問いに僕は顎に手を当てながら天井を見た。天井の平たい照明は、ダウンライトと共にダイニング全体を穏やかな光に晒していた。インターホンが鳴って、川橋がダイニングからまた出て行ったので、僕はキッチンを振り向いて昨日そこに置いた料理の地球儀を眺めていた。春の日なのか照明の光なのか知らないが、知らない魚料理が艶やかに煌めいていた。すると、川橋が何やら段ボールを抱えながら戻って来た。

「先輩、これ」

 笑いを堪えながら立ちすくんでいる川橋の手元には、段ボールが有る。僕はその状況を察して、川橋から段ボールを貸してもらい、そのまま開封した。

 中には案の定、黒地に白線で世界の陸地と国境を示した地球儀が入っていた。

 僕は、兄にしてはシンプルな地球儀を送ってきたものだと思ったのだが、川橋は地球儀を見た時からずっとカーペットに崩れ落ちて笑っていた。僕もやがて、今までに無いくらい早いペースの、一日おきの地球儀の配送に苦笑するしかなくなった。僕は笑いを堪える彼を他所目に地球儀をチェックしていると、割りかし直ぐに付箋を見つけた。

[大地へ 以前仕事の都合で行ったアメリカで趣向を凝らした地球儀を見つけたよ お土産に贈ろうと思ってたけど忘れてた 電源付けると光るから照明のデザインのアイデアになるかもね 海斗]

 はっとして地球儀の台を見ると、その球体の台にはコンセントが付属していた。試しにそれにコードを繋いで見ると、世界の国の上に一つずつ、何かの時刻が表示されてきた。「うおぉ」と二人ともに驚くが、ふとリビングの部屋の時計を見ると、7時51分だった。地球儀で日本の部分にも7:51と表示してあるから、どうやら各国の標準時を示したものらしかった。

「何処で手に入るんだよこんなもの」

 川橋の素の反応に僕も同調し、しばらくはそれを黙々と観察する時間が続いた。それぞれの国が1分ずつ同時に進んだのをみて、それで満足したのか川橋が無言のままダイニングに戻って行ったので、僕もお茶作りに戻ることにした。

 お湯に茶色が少しずつ染み込んでいくのを見ながら、僕は遠藤との会話を再び思い出していた。お茶を仕込み終えた僕は、直ぐに図書館について携帯で調べてみた。画像で検索すると、その図書館は照明といったレイアウト含めて、デザイン性がとても高い内装であることに気付いた。

 僕は何か体の芯が疼くのを感じた。そして、遠藤が職業人としてあの図書館に行くと言った衝動が分かった気がした。僕は図書館もそうだが、それ以前にこの建物のアイデンティティに興味を持ったようだった。

 今日は他に予定が無いことを確認した後、川橋には外出する旨を告げ、僕はバッグと電車の定期券を取りに2階の自室へ向かった。


 程良く暗い色の木材が基調の壁には、彩光のための天窓からの穏やかな光が漏れ出し、落ち着きと爽やかさを同時に醸している。

 僕は図書館の余りある本棚の中、アウトドア特集の本棚の前に立ち、そこから吹き抜けの空間を見上げていた。新しい図書館ということもあってか、子連れの親や美大の学生も数多く見掛ける。「こどもゾーン」と書かれて四角く区切られた、クッションと玩具で溢れたゾーンの側には、日中光が当たるように設計された、植物で張り巡らされた窓が在る。

 併設してあるカフェの香ばしい香りを感じながら、僕は文芸誌のコーナーに進んだ。手回し出来るタイプの本棚には、普段あまり見ない絵柄の表紙が数多く飾っていたが、川橋曰く有名らしかった彼の文芸誌は残念ながら取り扱われていなかった。

 僕は所在無く、小説コーナーに向かった。そこは比較的日光が当たらず、シックな雰囲気に覆われていた。僕が昔読んだ、大ヒットした小説も今は隅で何気なく本棚に挟まっていて、その直ぐ隣では司書が本を整理していた。

 僕はその中で、少し地味なデザインの小説を手に取った。高校生の時、名作古典だということだけは知っていて、背伸びして読んでみたが退屈で直ぐに放ってしまったものだった。

 大人になれば何かその退屈さに矜持でも見つかるのかもしれないと思い、そのなんとなく見覚えのあるデザインに耽っていた時、あ、と言うのが聞こえた。横を見ると、司書の女がこちらを見て目を丸くしているのに気付いた。

「その、それ…読まれるんですね。ずっとそれを読む人、見かけなかったのでもう誰にも読まれずここから消えるんじゃないかと思ってました」

 眼鏡を掛けたその人は顔を綻ばせて、肌のシミを隠すように頬を掻いて言った。僕は少しだけ笑って返した。

「ああ…僕も実を言うと、最後に読んだの高校生の時なんですよ。背伸びしたんですけれど、当時は中々退屈に感じて。今更読んで、何か得られると良いんですけど」

「大人になって読むと視点が変わるなんて本当に沢山有りますよ。私も中学の時と大学の時に同じ本読んだんですが違う人物に感情移入しちゃうんです。まあこれのことなんですけど」

 僕の返事に応えると彼女は文芸誌コーナーを指差した。

「実は、あの赤い表紙の文芸誌に、この作者の特集が有ったんです。興味が有れば取ってみて下さい。作者の背景を知ると作品を見る目も変わりますからね。疑問な点がございましたらレファレンスカウンターの方にお越し下さい」

 彼女はそう言い、仕事を終えたのかスタッフルームの方に去っていった。

 僕は言われるがまま、司書の言う、その作者の特集が有るという文芸誌を取った。近くにあった椅子に座って目次を見ると、エッセイや創作、連載のタイトルがそこだけでひしめいていて、天窓からの光を黒く細かく刻んでいた。僕はそれを見た途端、休みにこうしていることに少し気怠い気持ちになった。

 少しばかり特集を読み進めてみると、雲の影がページに伸びて来た。紙色と文字色が似て目のチカチカが和らいだが、それから数ページ読んだ辺りで僕は本を閉じた。川寺さんに勧められて読んでみたこの文章は、結果的にあまり面白くは無く、漫然と読んだのか知識が無かったのか、頭に残らずに休日を消費したことの虚無感だけが残った。若干の空腹を覚えた僕は、併設のカフェでローストビーフサンドとカフェラテを買った。黙々と席で食べ物を咀嚼する音が、本を捲ったり子供の笑い声に囲まれていて、時間が益々早く過ぎている様な気がした僕は急いでパンを咀嚼して、カフェラテで流し込んだ。結局、僕はその小説を読まずに図書館を出ることになった。

 四月も下旬になると家屋の照明デザインに関する仕事を終えて、ひと段落が着いた。僕はある時、遠藤に図書館に行ったことを告げた。対して遠藤も、そこで仕事に関わる本を借りたということを僕に伝えて来た。

「あそこ、雰囲気とかかなり工夫された建築してたよな。あの内観自体で一つの教科書だから、本なんか借りる必要無かったかも」

 遠藤は豪快に笑いながら荷物から建物の内観集の本を取り出し、それを見ると昨日自分が何も借りずに図書館を出たことが何か惨めで、伝え辛いように思った。

 一方家では、川橋がダイニングやリビングにいる機会が少なくなった。居たとしても、いつも何やら難しそうな本を取り出して、それを読みながらパソコンに何か打ち込んでいることが殆どだった。常にエッセイのネタを日常から探しているとは思えない、何かを凝視している様子に若干の心配を覚えたが、声を掛けて良いか分からないまま、時間が過ぎていった。あの高揚に対して、川橋が自分から連載について話すことも殆ど無かった。連載に向けて意気揚々というよりは、何か焦燥感に駆られたような川橋の表情に爆弾を抱えた様な不安を思いながら僕はリビングに放置してある、標準時地球儀をソファーに座りながら眺めていた。

 携帯の着信が鳴り、それを取ると遠藤からメールがあった。

[そういえば俺ら、家具のデザインの仕事が入るんだって。知ってた?]

 川橋が細く息を吐く音が後ろから聞こえる。

[本当?どんな感じのテーマとか有る?]

[子供部屋に置く感じの。知り合いから聞いたんだけどさ。今の内に考えといた方が良さげ]

 僕は目の前の、時刻の文字が発光する地球儀がそのまま照明として働かないだろうか、と思った。[せんきゅ]と返信した後、僕は二階に行って地球儀を整理した。兄が地球儀に偶に貼る付箋について、メールで送れば良いのに、と変に思いながら僕は地形に相当する場所に国名だけが載った地球儀を床の隅に下ろした。

 また別の日職場に赴き、僕は遠藤に彼の借りた図書を少しだけ貸してもらうことを相談した。それに快諾した彼は、翌日様々な家や建物の天井の写真を纏めた本を持ち出して来た。図書館で、照明そのものを纏めた本は借りて来なかったらしい。

「仕事早めに終わらすんだな。善は急げっていうしな、いやそれも違うか」

 ふざけて言う遠藤の一台詞は、案外無視出来ないものでもあった。月の変わり目頃になると、家での川橋は時々携帯電話に偶に申し訳無さそうに出るようになった。最初は連載の締め切りに追われているのだろうとでも思ったが、それにしては何か落胆を引き摺り過ぎているような陰惨な雰囲気を醸していて、何だか姿を見るだけでも申し訳無いような感覚になった。やがて、自然と僕と会話する数も少なくなっていた。一回、最近お前緊張状態多いよな、以前の気楽さも良い意味でお前らしさだと思うぞ、と声を掛けて見たが、「あぁ」とこちらを見ず頭を軽く下げるきりだった。そのような空気が薄い状態から目を逸らせられるような建前が僕は欲しかっただけなのかもしれない。

 こちらまで調子が狂いそうだ、と思いながら帰路に沿い、その後の無人の自宅のダイニングでは遠藤から貰った本を広げてみた。天井の材料や建物の趣向によって意匠が変わってくるのが面白かったが、それが照明のアイデア等に繋がるのかは自分ではよく分からなかった。その中には、以前兄が地球儀の模様を描くことを想像した照明もあった。

 どれぐらいかの時間が経ち川橋も帰ってくると、気を遣っていた僕は川橋に「使うか?」といって席を譲った。川橋は押し黙ったまま、俯いているのか頷いたのか分からないくらい下を向いた頭を抱えてこちらに向かって来た。

 それなりに明るいにも関わらず、薄暗いような錯覚をする程、タイピングの乾いた音がする。その横には、世界の雑学100選とかいうポップな見出しの本が不相応に置いてある。

 すると、川橋の電話が鳴り、電話相手との応答が始まったようだった。

「はい、川橋です。…はい、…はい、え、あっ申し訳ありません。…はい…あ、そっちは…はい、すみません…」

 恐らく応答からしてポジティブな話題では無さそうだった。僕は所在無く真っ黒なテレビに映った彼を見ていたが、その弱々しい振る舞いをやがて聞いていられなくなり、表情を繕いながら、そそくさと自室に向かった。

 机に遠藤から貰った本を広げてデスクライトを点けると、紙の上ではただ白かった部分が本物の光源のように輝いた。今までそういう性質を知らず、その立体的な視覚に恍惚として、それを暫く見つめた。閉じた空間で、地球儀と僕と照明は慎ましく結び付いていた。しかし自室で川橋を忘れていられる時間は無に等しかった。突然床が強く揺れ、雄叫びのような声が上がった。その後、啜り泣くような声が下から聞こえた。

 また一階に慌てて戻ると、一階の照明はシーリングライトが消されて壁が狐色に照らされ、その中で川橋はダイニングテーブルにうつ伏せになっている。

「大丈夫か?」

 僕は川橋に声を掛ける。しかし川橋は石像のように動かず、微かに白T越しに肩が上下するのが見えるだけだ。

 僕は川橋の黒髪を青白く照らすパソコンの画面を見る。そこには、原稿用紙で冒頭と思われる文章以外は全てが空白に表示されている。そのことを怪訝に思った時だった。

 川橋が突然ゆらりと立ち上がり、キッチンの方に向かった。その顔は紅潮している割に不気味に青くむくんでいて、死体が幽霊になったようだった。ゆらゆらとよろめく姿に、僕はキッチンに立った川橋を直視する勇気が無かった。

 丁度排水口で水が泡立つような音を口から立てながら川橋がシンクに顔を埋めると同時に、僕はパソコンの奥に金色に輝くものが沢山あることに気付いた。その円筒の群れに触れようとすると、川橋が呻き声を出しながら駆け寄って来て僕を遮った。

「やめっ、触らないで下さいよ」

「いやすまない、けど、この缶って、ビ__」

「関係無いでしょうよ」

「お前、下で何か叫んだの聞こえたぞ。あんまり今まで聞かないつもりでいたけど、最近どうした?」

「…それはすいません、でもどうせ分かんないですよ」

「確かに分かんないかもしれないけど、話さない分にはずっと解決しないだろ」

「話した所でどうこうなる話じゃないですよ」

「そう思うなら叫ばないでくれ。せめてお前が嘆く理由を知りたい。それなら多少腑に落ちるだろうから俺も」

「分かりましたよさっきの電話はですね、えーと、連載用の原稿がやり直しになったんですよ、内容が薄過ぎるって、だからこういう本で内容増そうと思ったんですよ」

 川橋は矢継ぎ早に言葉を並べる。

「俺だって分かってますよ、情けないですよ自分の専攻をテーマに出来ないのは、話題を掘り下げられない程こんな身の上でありながら連載出来ない程見識が浅いのは、考えたんですよでもその筋のもっとこう、ね?自分の敵わない人なんか沢山いるんですよ、そういう人たちが読者かもしれないんですよ」

 川橋は手元の雑学の本をテーブルに強く二度叩き付けた。僕は落ち着け、と宥めるが、川橋は弱々しく肘を付いて顔を埋めた。パソコンから出る光が、川橋の黒髪を容赦無く無機質に照らしていた。僕はその色を見ると、憐れみなのか、遠ざけてしまいたい嫌悪なのか分からない気持ちになり、彼から無意識に目を背けた。

「書けない」


 川橋があの夜、書けない、と絞り出した言葉、その前後で感じた疎ましい憐憫は、認めたくは無いが徐々に自分から離すことの出来ないものになっていった。商品開発のミーティングが丁度会社で行われて、子供部屋に置くような照明、という遠藤が話した業務内容は正しいことが分かった。しかし、どうにも僕は遠藤から借りた照明の本を思い返したが、あの一瞬立体的になった言葉が、具体的にどんな良い点があるのか、会議中に言語化出来ず、それがアイデアの枯渇に繋がってしまった。僕と対照的に、遠藤は割りかし良く喋った。先輩社員に並ぶくらい、続々とアイデアを出していく姿は照明のように眩かった。それは例えば、子供の目に優しいものだったり、安全な形状のライトだったり、機能性のあるものだった。

 結局、最終的にどの製作方針で行くのかは決まらず、翌週に持ち越しになった。会議後、僕は遠藤に本を貸してくれた礼にコーヒーを奢った。遠藤は塞ぎ込んだ顔をしていた。

「悪いな、なあその…俺が貸した本って役に立ったか?もし違かったら本当申し訳無いな…」

「いやあれは、初めて受けた仕事だったから。緊張しちゃっただけだよ。寧ろ沢山発言してくれて助かったよ」

 手に残るコーヒー缶の熱を感じながら、僕はルーティーンの伸びをした。向こうの景色は益々遠ざかっているようだった。沈痛な遠藤の面持ちは、一周回って奥ゆかしいとも思った。あれや他の本も見て様々な要素を分析したのだろうか、それを淡々と発表出来る素質のある遠藤には、あの情報や意匠に溢れた図書館はどれだけ心地良かったことだろう、と思う。僕は、一つの小説を読むことさえままならずにあの建築の工夫に満ちた図書館を経った。目の前の彫りの深い遠藤のしかめ面が、僕のその時の表情に似ているような気がして、僕は思わず目を背けた。

 その後、帰りの電車で、僕は兄からメールを受け取った。外国の工芸教室に行ってきた、という内容のメールと共に、透明なガラス玉に女性が何かグルーガンのようなものでそれに線を描いている映像が付いてきた。その線が何を模るか見届ける前に、僕は兄に手早くメールを送った。

[気楽そうで良かったよ こっちは少し仕事が難しくて余裕無いから羨ましい]

 僕はそれを送ってから直ぐに視線を窓にやった。景色の上方には黒いケーブルみたいなものが熱帯林の蔦のように掛かり続け、それにぶら下がる夜行動物の目ように奥の街並みが光っていた。視線を携帯に落とすと、直ぐに返信がついていた。

[頑張れ 良ければ動画のやついる?]

 僕はさっきと裏腹に燻るような寒気と苛立ちとに追われて、間髪無く指を動かした。最後まで見る余裕が無い__見てやるものか__とも感じたかもしれない。

[また今度ね]

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