未来と扉
リラが部屋を去ると、フランはソファから立ち上がって大きく伸びをした。
『結局、一度も
『まだ世界を変えるには至っていない、ということだね。少しずつ理解と共感を得てゆく必要がありそうだ』
ユーロゥがソファに背を預けると、フランがおもむろに唇を開いた。
「ユネイル社はポピーウールで作り上げた壁を自ら壊そうとしている、──言い得て妙ですわね」
ゆったりと紡がれる肉声が鼓膜を震わせてゆく。ユーロゥはその感覚にくすぐったそうな笑みを浮かべた。
『僕がしたいことは変わらない。この
目の前のフランを含め、
落ちこぼれとして
『僕が作ったのは壁じゃない。扉だよ、いつか開かれるためのね』
「そのために、あなたは
ふわりとドレスの裾を揺らしたフランがソファの背に回る。ユーロゥの耳元に顔を寄せると、小さな声で囁いた。
「……私たちの生きている内に、本当にそんな景色が見られるかしら?」
『できるさ。君の歌なら、きっと』
こぼれ落ちてきた金色の髪に目を細めると、ユーロゥは一房をすくい上げて軽く口づけた。
『そのためにも次の公演、必ず成功させよう』
「もちろん、世界を変える最高の歌を披露してみせますわ」
自信に満ちた声で言うと、フランは照れ隠しのようにユーロゥの
『あとそれ、
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