1章
異世界転移編
なんか異世界転移した
目の前が真白になり、思わず目を瞑る。
そうして光が収まった頃、見知らぬ場所に俺はいた。
いや、俺だけじゃない、クラス全員がそこにいた。
困惑しているのは俺だけではないようだ。
「ここ…どこなのよぉ!」
「ドゥフッ、これは非常に興味の湧くシチュですな」
「ひいやあぁぁ!」
「え?え、え?」
いくらなんでもパニック過ぎないか…?
カオスなんだけど。
「皆さん、落ち着いてくだささい。」
こんな状況でも冷静にクラスへ声をかけたのは生徒会役員の田中さん。
「拙者はいつでも落ち着いておりますぞっドゥフフっ」
この絵に書いたようなオタクは山田。
放課中は割とクラスメイトと喋ってる。あと意外と良い奴。
1度周りを見てみる。
壁一面は白だが高級そうな椅子があったりカーペットが強いてあったりで高級感のある部屋みたいだ。
前方にはかなり大きな扉がある。
そして何より異質感を放つものは謎の台の上に置いてある宝石のようなものだ。
かなり粉々に砕け散っており、一粒一粒が禍々しく光っている。
周りを一通り見終わった頃に騒ぎもひと段落ついたようで取り敢えずは安心できた。
すると、そのタイミングを狙ったかのように扉が開けられ、金属の鎧を纏う中世騎士のような見た目をした人が6人入ってくる。
そのすぐ後に小太りのおっさんが入ってきた。
皆そちらに注目し、何が起こるのかハラハラしているようだ。
俺たちの方を見るとにこやかに微笑み、こう言った。
「ようこそお越しくださいました!勇者の皆様!」
皆怪訝な表情をしており、かくいう俺も頭のおかしいおっさんだなと思ってしまっている。
「い、意味がわかりません。ここはどこなのでしょうか!勇者とはなんなのですか!」
田中さんがみんなの思ってることを質問してくれた。
おっさんはその質問に丁寧に答えてくれた。
どうやらここは俺たちのいた世界とは別世界で、山田が言うにはよくある異世界転生のような状況だそうだ。
どうやらモンスターや悪魔もいるようでその王である魔王の討伐へと出向くのが勇者だそうだ。
にわかには信じ難いが、それは直ぐに信じざるを得なくなる。
「信じられないようですね。無理もないでしょう。」
「ではこれを見てください。」
そう言うと懐から1枚の羊皮紙のようなものを取りだし、紐を解き広げると、こう唱えた。
『クリエイト・ソード』
すると羊皮紙が光を発し、次の瞬間にはそれが1本の剣に変わっていた。
「「「お、おお!」」」
みんなこの不思議な現象に驚きを隠せないようで、その剣をまじまじと見ていた。
その様子を見ておっさんは指を鳴らす。
するとすぐに羊皮紙が運ばれてくる。
「これだけでら信じられないでしょう、ですから、皆様自身でこれがなんの仕掛けもないことを体感してみてください。」
するとみんなは一気に紙を取りに行った。
山田と雅人を除いて。
山田は
「余り物には福があるときまっているでござるっ、ドゥフ」
と呟いており、雅人は俺に
「なんか胡散臭くない…?いきなり見知らぬ場所に連れてこられてこんなすんなり順応できるアイツらもあいつらだけど。」
と小声で話しかけてきた。
山田は正直どうでもいいとして雅人の意見は最もだ。
しばらく様子を見ていると「さ、あなたたちも」とおっさんに急かされたため、渋々取りに行った。
「使い方は簡単です、そこに書いてある文字を読むだけで良いのです。」
書いてある文字は皆同じなようだ。
山田…余り物とか関係なかったよ。
紙を見ると何重にもインクが塗り重なったような文字があり、それをそのまま読む。
『クリエイト・ウェポン』
書かれていた文字を読むと皆の紙が光だし、それぞれ棒やら剣やらが創り出されていた。
俺の手には…なんもなかった。はあ?
「皆様出来たようですね、出来た道具はこちらの机に置いてください。置いた方は、この兵について行ってください 。」
そうおっさんは1人の兵を扉の前に立たせ、道具を置いた俺らをついていかせた。
正直ついて行っていいのか分からないが、帰る方法もない上にこの世界についてわかっていない今ではこの方法しかないのかもしれない。
そう思いながら俺は少し遅れてクラスメイトについて行った。
◇◇◇
豪華な装飾がされた、先程まで20人ほどの制服を着た人間がいた部屋。
そこに5人の兵と1人の男がいた。
男は粉々になっている宝石を見て険しい顔になる。
「即戦力になるようこの世界での技能の成長が早い人間を連れてきたのだが、間違いだったかもしれんな。」
そうボヤくと兵士を一瞥し、こう命令した。
「あの中に
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