第39話 奴隷購入 三人の場合


「それじゃ、三人一緒に決める……そういう事でいいわよね?」


「そうだね、僕もその方が良いと思う」


「うんうん、私も、そう思うよっ!」


ライトと話した時は別々の個室で、それぞれが欲しい奴隷を決めて行こう。


そう話し、さっさとライトは女の子の奴隷を連れて行っちゃったけど……よく考えたら、私達三人は『かぶる』可能性があるのよね。


だって、此処にいる奴隷はどの人も美形だし。


だから、少し大きな部屋に三人で通して貰ったの。


「あの、マリアンヌ様、これから、奴隷の自己紹介を……」


「その前にちょっと待って! 私達の方で優先順位を決めるから、リメル、リリア、恨みっこ無しのジャンケン1回勝負! 良いかな?」


「そうだね、それが良い」


「うん!」


気に入った奴隷が被った場合の優先順位を決める為の真剣勝負。


それをジャンケンで決める事にしました。


結果は……


「やったぁーー私が1番だね」


「僕が2番かぁ」


「私は……最後ね」


リリアが1番、リメルが2番……そして最後が私なのね。


「それでは、マリアンヌ様、これから奴隷の紹介をさせて頂いて宜しいでしょうか?」


「お願いします!」


リメルとリリアも一緒に頷きました。


ごくりと唾を飲んだ音も聞こえました。


まぁ、私も一緒ですね。


「どの人も凄いな」


「6人とも美形ばかりだね」


リメルとリリアが言うのも頷けます。


6人全員がライトを超える美形なのです。


貴公子とか美男子と言うのはこう言う人達の事を言うのでしょう。


「それは当たり前の事です。 どれも最低白金貨1枚(約1千万)からの最高の奴隷ですからな……お前等1人1人自己紹介をしろ」


「こほん、では、まずは私から、私の名はアーサーと申します。 昔は小さな国で王子をしておりましたが、魔族領の近くだった為、私が幼いころに滅ぼされたと聞きます。その後は逃がして貰った母と私は……没落した王族なんて碌な生き方は出来ません。結果おちぶれて奴隷に。その為、今は只のアーサーです。 一応は剣と魔法は使えますが我流です……家事は、まぁ男が出来る範囲なら程度です」


金髪で本当に王子の様にしか見えません。


まさか、奴隷にこんな方がいるなんて……


横の二人も話を聞いて、食い入るように見ています。


「補足ですが出身については保証はありません。ですが白百合の紋章の短剣と流れる様な金髪はとある滅びた国の王族の特徴にあっています」


「次は俺だな! 俺の名はランディウス! 元街の騎士団に居た。 情けない話だが街で魔族と戦い敗退。そしておちぶれて今に至る。騎士団だから、最低線の家事は出来る。剣が得意で騎士団では1.2を争っていた」


赤髪が綺麗。


ライト以上に勇者に見えるわ……凄い。



「確かに凄いと思う」


「うんうん、凄いね」


「ランディウスの話は裏付けが取れていますから、その素性は保証付きです」


「次は私ですね。 私の名前はウッディ、森の民エルフです。 エルフなので精霊魔法と弓を扱うのが得意ですね……事務仕事も得意ではありますが、エルフの世界の事なので自信は無いですね」


エルフの美青年って所ですか……


「本当にエルフって凄いね」


「うんうん……私もそうおもう」


「見ての通りの貴重なエルフです……最近はなかなか手に入りませんね」


「次は私だな! 私の名前はジュリアン! 小さな国で伯爵家に生まれたが没落してしまい奴隷になった……レイピアが得意だ。家事は一切出来ないが、小さい頃に事務仕事を手伝っていたから、そちらは得意だ」


金髪の年上の綺麗なお兄様……そういう感じね。


「貴族の令息……カッコ良い」


「凄い……」


「次は私か? 私の名前はオスカー。 元は冒険者をしていた。最終的にはCランク……冒険者だから、まぁ色々と出来るよ」


年下の綺麗な男の子という感じかな。


「可愛いらしいなぁ」


「これから鍛えれば強くなるかも……」


「次は僕だね? 僕の名前はルディウス。同じく元は冒険者をしていた。最終的にはDランク……冒険者だから雑用は得意かな」


更に年下の綺麗な男の子という感じかな。


「随分と可愛いらしいなぁ」


「雑用して貰うだけでもこういう子ならありかも……」


「以上6名が近隣で高級とされる男性奴隷ですね……此処まで上質な奴隷は王都にもなかなか居ませんよ」


「この中から選べるのは1人なのね」


「僕、悩んじゃうなぁ~」


「せめて2人は欲しいな」


奴隷商人が笑った気がしたわ。


「それなら、全員を購入なさっては如何ですか? ライト様は5人お求めになりましたよ」


それが出来るなら簡単だわ。


「それなら話は簡単だわ」


「出来るの!」


「だったら、全員が良いよね」


「それぞれの奴隷の主を三人にしまして、優先順位を設定する特別な奴隷紋を刻みます……後に生活していくなかで三人で話し合い、色々と決めていく……この方法は如何でしょうか?」


「ねぇ、リメル、リリアそうしない?」


「「うん」」


「6人あわせた金額は全部で白金貨21枚(約2億1千万)になります。 此処までの取引きですので、奴隷紋の刻み賃、最初の洋服代などは特別にサービスさせて頂きます。 それでは金額の方のご記入お願い致します」


私達は一人白金貨7枚の金額を手を震わせながら記入した。


ライトが5人買ったと聞いたからつい購入を決意したけど……


本当にこれで良かったのかな……


こんな莫大な金額を使ったら……もう『魔王討伐が出来ない』なんて口が裂けても言えない。


多分、もう戦いから逃げる事は出来ない。


まぁ……勝てば良いのよね。

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