第37話 勇者SIDE 奴隷購入
俺達はリヒトと別れた後近くの違う酒場に来ていた。
今後の話し合いをする必要がある為だ。。
リヒトを連れ戻すことには失敗したが……ちゃんと補う手があるじゃないか。
「他のメンバーは兎も角、リリアは賢者だろう? なんでこういう事を知らないんだよ!」
「知っていたよ! だけど、それぞれ欠点があるからおいそれとは使えないから言わなかっただけだよ……」
「どんな欠点があるって言うんだよ!」
「言うから、そう怖い顔しないでよ! まず『人材派遣要請』だけど、来るのは教会か王家や貴族が推薦するような人物が来るのよ! まず堅物なのは間違いないよ! マリアンヌやリメルなら解るんじゃないの?」
「ええっ、まぁ教会からの派遣の場合はやたらと教義に厳しく品位を求めるタイプが来ますね……朝寝坊もズボラな事も一切許されませんね」
「国から来るなら騎士か宮廷魔術師かな……多分、相当口煩いタイプが来るんじゃないかな?」
「ライト、これで解ったでしょう? 人材なんか派遣して貰ったら、もう自由気ままになんて出来ないよ! お目付け役が出来るような物だからね」
「それじゃ『奴隷購入要請』はどうなんだよ!」
「それは、運任せなんじゃないかな? 大体優れた奴隷は高額だし、なかなか居ないと思うんだけど……」
「だけど、探してみない事には解らないじゃないか?」
「良く解らないけど、凄い才能のある奴隷が居たら、王族や貴族や金持ちが全部買っちゃうんじゃない?」
「まぁ、リリアの言う通りだと思うけど、購入とか考えずに奴隷商に行ってみるのもありなんじゃないか?」
「あの、リメル……勇者パーティが奴隷を購入するって結構な醜聞ですよ……教会は一応奴隷は認めているけど、基本は弱者救済だから……嫌われる行動だと思いますよ」
「今の話を纏めると、窮屈な生活になるか、醜聞になっても快適な生活の為に奴隷を買うかのどちらかという事か?」
「ライト、奴隷の場合は『貴重な人材がいるかどうか?』もあるよ」
どちらを選んでもそれなりに悪い面があると言う事か……
今の俺達の出来る事は……奴隷商を見に行く位しか出来ないな……
そもそも優秀な奴隷が居なければ申請しても仕方ないし。
だが、もう良縁が無いのであれば『奴隷』は良いんじゃないか?
綺麗な女剣士やエルフの弓使いなんて最高だよな。
そう言った見栄え麗しい女性で強くて家事が得意な女を仲間にすれば最高じゃないか……
「まぁ、見に行く事にはなんのリスクも無いんだから、取り敢えず、皆で見に行ってみるか?」
「「「そうね(だね)(だな)」」」
こうして俺達は取り敢えず近くの奴隷商に行ってみる事にしたのだが……
◆◆◆
「ライト、なんでまた俺を……」
宿に帰る前にライトに捕まってしまった。
「もう帰ってきてくれとは言わないから、最後『奴隷購入要請』の手続きをして、奴隷商に付き合ってくれないか?」
リメル達三人も横で首を縦に振っている。
仕方ない、これを最後と言う事でつき合ってやるか。
「良いよ! これで最後だからなっ!」
俺は四人を引きつれて近くの冒険者ギルドに来た。
「ライト、さっき俺が書いた『奴隷購入要請』の手紙があるだろう。それに四人で署名してくれ」
ライトが署名し3人に手紙を渡すと全員が署名をした。
「これで良いのか?」
「それで充分だ……受付のお姉さん、これの手続きをお願い! それで申し訳ないが勇者が使える『特定用途小切手』を発行してくれないか?」
「あっ、勇者パーティ漆黒の翼ですね……勇者パーティからの要請、すぐに手続きにかかります……それで『特定用途小切手』の用途は何にしますか?」
「奴隷購入で、4枚切って欲しい」
「奴隷購入……あの宜しいんですか?」
「ああっ、構わない」
流石プロ。
一瞬驚いたものの、すぐに手続きに取り掛かっている。
「はい、奴隷購入要請の手続きは終わりました。 あとこちらが小切手4枚です」
「それじゃ、この小切手は1人1枚ずつ大切に持っておいて」
「リヒト、これは一体……」
「ライト、面倒くさいから説明は奴隷商でするから」
そう言いライトの話を遮った。
勇者って奴は凄く便利だ。
申請と言いながら、書類を出せば確実に通る。
それも最速で……
奴隷購入の手続きと同時に、無記名の小切手(用途のみ記載の物)を切って貰った。
これで、もう奴隷商に行ったら奴隷を選ぶだけだ。
◆◆◆
奴隷商にて
「これはこれはライト様、今日はどう言ったご用件で?」
「いや、詳しい事は、こっちのリヒトに聞いてくれ!」
「リヒト様にですか? それでリヒト様、本日はどう言ったご用件で!」
「勇者パーティの為に家事が出来てある程度戦闘が出来る奴隷が欲しいんです……お金に糸目をつけないので最高の奴隷をお願いしたい。そう言う事です。 本当にお金に糸目をつけないので、此処ぞという人物がいるなら、知り合いの奴隷商から連れてきても構いませんよ」
「本当ですか?」
「本当です」
「凄い話になったな……それなら2時間こちらでお待ちください……待っている間はサロンで接待させますから……寛いでお待ちください!」
「一応、4人、可能なら見栄えが良ければ更に良い、最高の奴隷をお願い致します」
「解りました! このゴードン最高の奴隷を目の前に連れてきます」
お金は教会か国が払うから青天井で良い。
此奴らの理想の奴隷が手に入れば、もう放っておいてくれるよな。
◆◆◆
サロンでお茶を飲みお菓子を食べながら待っていた。
「リヒト、これって……」
「さっき、奴隷購入の申請は冒険者ギルドへ提出して許可を貰った。渡した紙は『特定用途小切手』といって金額を書いて渡せばお金ととして使える。但し、今回は奴隷購入以外に使えないけどな」
「それじゃ、この紙で奴隷が買える、そういう事?」
「凄いね」
「これで買えちゃうんだ……」
「そう言う事」
ただ、そのお金の請求先は教会や国なんだけどな。
暫く会話をしながら待っていると、奴隷商から声が掛かった。
「リヒト様、奴隷の用意が出来ました」
「皆、奴隷の用意が出来たって、さぁ行こうか?」
「「「「うん」」」」
4人とも満面の笑みでサロンを後にした。
◆◆◆
奴隷商の赤い絨毯に沢山の男女が居た。
美形の代表のエルフの男女に貴族っぽい少年少女も居る。
「すげーな……これ」
「奴隷って言っても貴族にしか見えない人もいるな」
「これは凄いわね」
「うんうん、凄いね」
「お金に糸目をつけないという事でしたのでエルフに没落貴族に元騎士まで、この近辺の奴隷商では最高の物を揃えました」
「なぁ、ライト、後は奴隷を選ぶだけだから、もう俺は要らないだろう? この辺で帰っちゃ駄目か?」
「そうだな、此処まで来たら大丈夫だ、リヒト助かったよ」
「ありがとう、リヒト」
「リヒト助かったわ」
「ありがとうね」
さっきから、ライトはエルフ。
他の3人は貴公子みたいな少年をロックオンしている。
下手に口を挟んで後で文句を言われるより自己責任にした方が良いだろう。
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