第36話 勇者来訪


「リヒトく~ん、ほらほら……」


「リヒトお兄ちゃん……気持ち良~い?」


「ご主人様、まだまだ頑張れますわよね! 勃たなくなってきてもですね、此処を刺激すると……はい、この通りですわ」


確かに、この光景は正にハーレム。


最高の状態だけど…….


「ハァハァ……流石にもう駄目だぁーー」


『鈴木さんすげーーっ』としか言えない。


アヤカの指示通りに奉仕してくるカナとミア。


今迄は初々しい感じだったけど、アヤカが加わった事で全然違う物になってしまった……


二人とも清純な感じで受けだったし、普通にしていれば満足していたのに……アヤカが……


『ご主人様を満足させずに眠るなんて愛がありませんわ』


なんて言うから、しっかりと、とんでもない奉仕をしてくる。


しかも、アヤカが二人に色々と教えるから……凄すぎる。


今迄だって、充分満足していたのに……此処から先があるなんて思わなかった。


「リヒトくん、まだまだ満足しきってないんじゃない……ペロッうんぐっカナが気持ち良くしてあげる」


「リヒトお兄ちゃん……ミアが、もっと、もっと気持ち良くしてあげるからね」


「ご主人様、夜はまだまだこれからですわ……めくるめく淫靡な世界を楽しませてあげますわ……さぁ快感に身をお任せ下さいませぇ」


そのまま快楽に身を任せているだけで、何もしていない状態なのに、もの凄い快感が伝わってくる。


何を好むか、すべて解っているように、痒い所に手が届く様なSEX。


気が付くと俺は……


◆◆◆


「う~ん……はっ俺いつの間にか寝ていたのか?」


カナとミアは俺を抱えるように左右で寝ている。


アヤカは……


「ご主人様はご満足できましたか? まだ余裕がおありでしたら私がお相手を更にさせていただきますわ」


「いや、充分堪能させて貰ったよ……まさか気持ち良いまま眠ってしまうとは思わなかったよ」


「快楽を堪能して貰い、心地よい疲れで眠って頂く、それが殿方の理想と聞きましたわ……そうですね、お疲れと言う事なら、今度はマッサージをさせて頂きますわ」


「マッサージまで出来るんだ」


「鈴木の作った最高傑作ですから、まず人類じゃ私にマッサージじゃ勝てる者はおりませんわね」


俺はうつ伏せになり、アヤカにマッサージをして貰ったが……


凄く気持ち良い……


「凄く気持ち良い……うんうん極楽、極楽……」


「気にいって頂いて何よりですわ」


今迄も夢のような毎日だったけど……今はそれ以上だ。


きっと、王族になろうが、勇者になって魔王を討伐しようが、こんな楽しい日々は手に入らないだろうな……


しかし、このマッサージ本当に気持ちが良い。


また眠く…….


ドンドンドンッ


煩いな……折角、気持ち良いのに……


居留守でも使うか。


「めんどくさいから放って……」


ドンドンドンッ


本当にしつこいな……


仕方ない出るか。


このままだとカナとミアが起きそうだからな。


「アヤカ、ありがとう……煩いから出るよ」


「どう致しましてですわ」


仕方なく、俺はアヤカに奥に行って貰い、ドアを開けた。


「なんかよう?!」


おざなりになるのは仕方ないよな。


嫌な予感は的中する……やはりライトか、ご丁寧に勇者パーティ勢ぞろいだ。


「仕方ない……また近くの酒場に行こうか」


四人を俺は酒場に誘った。


【酒場にて】


「リヒト……凄く悩んだんだが、お前は俺達に必要だ……戻ってきてくれないか?」


「悪いが、幾ら言われても戻る気はないよ」


「リヒト……僕たちが傷つけたせいで精神的に可笑しくなっているのは解るよ……これからは気を付けるから戻ってきてよ!」


「何をいまさら……ライトが好きだった事は村に居た時から知っているよ? 折角、好きな人と結ばれる未来が出来たんだから、幸せな生活を堪能した方が良いんじゃないか?」


「リヒト、本当に戻ってきてくれない! 一緒に来てくれたら、魔王討伐後になるけど、教皇様に頼んでしっかりと褒賞も貰えるようにするし、地位だって教会に頼んでそれなりの地位を貰うから」


「俺は地位や名誉は欲しいと思わない……楽しく暮せれば村人Aで充分なんだよ……マリアーヌは解っているだろう? 幼馴染なんだからさぁ」


「そうかも知れないけど……」


「リヒトは私の事好きだったよね? その、私が頼んでも駄目かな? 今度はしっかりと私もリヒトの事を見るからさぁ」


「確かに俺はリリアが好きだったが、それは妹みたいな存在としてだ。村人として生活をしていたらライトと結婚しなかった二人のうち1人を選ぶ可能性はあったけど……ライトが勇者になった時点で一夫多妻が可能になったから、その可能性は無くなった。なにより、リリアもライトが好きだったんだから、4人で楽しく暮せば良いんだよ」


「確かにライトは素敵だけど、私を一番には愛してくれない……だけどリヒトは一番に愛してくれていたの、今なら解るよ! 今度はしっかりリヒトを見るから、もう一度チャンスをくれないかな?」


「あのさぁ……親友と最後の一線は越えてないとはいえ、あれ程毎日イチャついていた女、愛せるわけないだろう? それに俺はパーティを去る時に確認したじゃないか? 今の俺には愛する女が居るんだ。今更だよ! なんでこっぴどく振った俺が今でもお前を愛していると思う訳? それに、俺が好きだったのは村人だった素朴なリリアであって今のリリアじゃない」


「だったら、昔のように私がなれば良いの……」


「そうだな、賢者をやめて、村に帰って畑を耕して暮らすなら考えなくもない。勿論『賢者の全ての権利を放棄します』そういう宣言書を国王相手に書いて貰う。出来るか? 出来るなら考えるよ」


出来るわけないよな。


『賢者』の生活に酔っているリリアにその選択は出来ない。


「出来ないわ……」


「だったら、リリアにとって1番は俺じゃない『賢者』の地位だって事だろう? ライトと一緒に魔王討伐の旅を続ければ良いじゃないか?」


「……」


「リヒト、俺達にはお前が必要なんだ! 対価が必要なら用意するから帰ってきて欲しい……」


「あのな、ライト……俺は本来はお前等のパーティとは無関係なんだぜ。四職でもないからな……だが、同じ村出身で、周りの大人が心配だから手伝って欲しい。そう言われて手伝って来ただけだ。 しかも無報酬でな……元からお前達がある程度旅に慣れたら去る予定だった。それが、お前達が追放したから早くなっただけだ。 俺は地位も領地も要らない。 仲間と面白可笑しく暮す事以外何も望まない! 村人の時にはその相手はお前達だった……だが、お前達は勇者パーティになったから、その相手じゃなくなった……それだけだ。 お前等は勇者パーティとして栄誉が欲しいなら頑張れ……俺は何処かの村か街でささやかな小さな幸せを手に入れて暮らすからな」


「リヒトどうしても戻ってくれないのか?」


「当り前だろう? 逆にお前達が『魔王討伐』を諦めて『勇者パーティ』をやめて普通の生活をするって言うなら考えるけど? 無理だろう……」


「ああっ」


「それなら諦めてくれ」


これで話が終わったな。


もう、正直言うと関わりたくない。


「なぁ、此奴ら全員お前に譲ると言ったらどうだ?」


「そんな事あいつ等が許す訳ないだろう? 流石に怒るぞ」


「僕はリヒトがそれで良いって言うなら……良いよ」


「私もそれが条件なら、受け入れるよ」


「私は元からリヒトが好きだからね……」


此奴らの絆って、こんなに脆いのか……


「残念だな! 俺には愛おしい恋人が三人もいる……昔ならいざ知らず今更遅いんだよ……もう関わらないでくれ」


「だが、俺達にはどうしても、お前の様に身の回りの世話をする人間が必要なんだ……」


アホか……


なんで考えないのか……


「それなら、紙とペン貸してくれるか?」


「どうするんだ?」


「『人材派遣要請』『奴隷購入要請』の手紙を書いてやるから都合の良い方を使えよ」


「なんだそれ……」


「人材派遣要請は必要な人材を国や教会から派遣して貰う為の要請書だ。奴隷購入要請は魔族と戦う戦力にする奴隷を購入するお金を貰う申請書だ……どちらでも好きな方を使えよ……ほら」


「そんなのがあったのか」


「まぁな……」


ライト達四人はこれでどうにかなる。


そう思ったのか、俺に頭を下げて帰っていった。


ただ、ライトに俺は言わなかった事がある。


それはどちらもリスクがあるという事だ。



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