第34話 カレーライス
ようやくカナとミアの待つ宿に帰ってきた。
「ただいまぁ~ カナ、ミア」
「お帰りなさいっ! リヒトくん」
「リヒトお兄ちゃんお帰りぃ~ あれっ、その人?」
「ようやく、家事を手伝ってくれる、理想の人が見つかったから……連れて来たんだ」
アヤカは二人を舐めますように見ている。
「アヤカと申しますわ! なかなか、可愛らしい方たちですわね! 二人ともなかなかの美少女ですね……それじゃ、皆で一緒にめくるめく4Pの世界を堪能致しましょう……でわぁぁ!」
アヤカは……思考が物凄くエロい。
アヤカは別の意味でも魔性の様な気がする。
欲望に流されるとこのまま、丸一日この部屋から出られなくなりそうだ。
「アヤカ、それは素晴らしい提案だけど……そろそろお腹が空いたからご飯にしない?」
「まぁ、そうですわね! スタミナをつけた方がより長く楽しめますわ……リクエストとかありますか?」
「カナ、ミア……悪いけど、今日は俺の食べたい物を優先して貰って良いかな?」
「うん、良いよ」
「お兄ちゃんの好きな物で良いよ」
俺はどうしても前世の料理が食いたかった。
ハンバーグとかはまだしも『カレーライス』はこの世界で食べた事が無い。
俺も再現しようとしたが……所詮はモドキ。
本物とは言いずらい。
恐らく、異世界人が食べたら……『違う』と言われると思う。
「カレーライスを頼んでいいかな?」
「まぁ、カレーライスですの! 私の得意料理ですわ! 甘口と辛口、中辛どれが宜しいですか?」
カナとミアが居るから……甘口が良いだろうな。
「解りましたわ」
よく考えたら、今回の食材を購入したのは俺だ。
これだと……多分、調味料とか足りないよな。
大丈夫なのだろうか?
アヤカは宿屋の台所で食材を手際よく切り分け、軽く炒めている。
確かに軽く火を通すと美味い。
だが、問題は調味料だ。
転生者や転移者が昔は沢山居て努力をしていたようだが……完璧には再現されていない。
「空気錬金」
いま、アヤカが呪文を唱えたら……手に、嘘だろうカレールーが出て来た。
「リヒトくん、今、いきなり変な物が出て来たよ!」
「リヒトお兄ちゃん!?」
「出てきたのはカレールーだけど……アヤカ、今のはなに?」
「これは空中元素固定魔法ですね……鈴木が組み込んだレア魔法ですわ……空気中の元素を操り欲しい物を作り出す錬金の様な物ですわ」
「凄いね……」
「ちなみに、本来は金や宝石も出せるのですが、鈴木がそれを良しとしなかったので術式から消されていますわ」
確かにこれで、金や宝石を普通に出された……経済が可笑しくなる。
鈴木さん……かなりの常識人だったんだな。
「空気錬金」
今度は……米か……
「米まで出せるのか、凄いな」
「鈴木が好きだったコシヒカリに似た感じの物ですわね、本物ではないですが、味は鈴木の折り紙つきですわ」
「リヒトくん、なんだかよい臭いがする」
「リヒトお兄ちゃん美味しそう」
「ああっ、これ絶対においしいよ」
「あとはカレーが煮えて、お米が炊き上がりましたら完成ですわ……ご主人様は福神漬けも欲しいタイプですか?」
「出来るの?」
「勿論ですわ! 私は鈴木が作った最高傑作ですから」
暫く待って出来上がった『カレーライス』はこの世界にあるモドキではなく前世で食べた『本物』のカレーライスだった。
「これ、凄くリヒトくん、美味いよ」
「ミア、こんなの食べた事無いよ」
「ああっ、本当に美味い……まさかこれが食べられる日がくるなんて……アヤカ、本当にありがとう」
「どういたしまして! ですわ」
よく考えたらアヤカって勇者パーティで俺の代役が勤まる位凄いんんじゃないかな?
アヤカの外見がこれでこの世界の美人だったら……そう考えたら『今のアヤカ』で良かった。
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