第30話 怪物王子と人工メイド
カナやミアが家事奴隷を探して欲しいというから、継続して探す事にした。
もし、カナとミアの様な子がいるとしたらきっと『見世物小屋』だ。
この世界は非人道的な事にまだそういう商売がある。
奴隷商人が『見世物にするような奴』そう言っていた。
だったら、見世物小屋に行けば、居る可能性はある。
そう思い、探し回ったのだが……
やはり、なかなか居ない。
それ以前に気持ち悪い物ばかり見せられて気が滅入ってしまう。
芋虫女……蛇女と見たけど、これは……可哀そうな女性を見世物にしているだけだった。
余りに残酷な描写で、詳しくは言えないけどな……
仕方ない、直接聞いてみるか……
「すみません『見世物用の女性』は何処で仕入れて来るんですか?」
見た感じ責任者に見える、髭もじゃの偉そうな人を捕まえて聞いてみた。
「はぁ~! 仕入先なんて教える訳ねーだろうが! それが命綱……あっ怪物王子リヒトか!」
怪物王子ってなんだ?
「怪物王子って何ですか?」
急に髭もじゃの男は焦りだした。
「いや、リヒト様のあだ名ですよ! 怪物王子、ブス専王子と、そう呼ばれています。ですが、女性に人気のあったリヒト様が、あれ程、悍ましい奴隷を連れているのですから仕方ないと思いませんか?」
そういうあだ名がついているのか……なら、気にしても仕方ない。
アニメやフィギュアを知らない人間からしたら、案外俺はそう思われても仕方が無い。
「そう呼ばれているのか? まぁそれは良いや。 俺は二人の顔立ちが好きなんだ。 決して醜い女性全てが好きなんじゃない! その中でも、ある種類の特殊な顔立ちが好きなだけだ!」
「でしょうな……お二人とも体つきは兎も角、顔はどことなく共通する物がありますから」
「こだわりがある。 それさえ解って貰えれば良い」
彼女達の良さはこの世界じゃ理解されないだろう。
昔みたいに転移者や転生者が沢山居た時代なら兎も角、最近は余り居ないらしいから、あの価値が解る人間はそうそう居ないのかも知れない。
まぁ、何処かに居るかも知れないけどな......
「商売敵じゃないのは良く解っていますので、特別に仕入先にお連れしてもよろしいですよ! 今日、行く予定がありますが一緒に来られますか?」
「是非、お願い致します」
「実は、仕入れ先に訳ありの商品がありまして、その商品がもしかしたら、リヒト様の好みに合うんじゃないか? そういう話しがあります。 その店主が、色々な人へリヒト様へ繋いで欲しいと声を掛けていましたから、丁度よかったかも知れません」
「それはありがたい。 願っても無い話だ」
見世物小屋の男と一緒に出掛ける事になった。
◆◆◆
此処がそうか……
街はずれにある工場みたいな建物、そこが目的の場所だった。
近寄っただけで臭いがしてくる。
此処に比べたら奴隷商の方がまだ真面な店の気がする。
「臭いですね……」
「そりゃそうですよ!此処に集まる奴隷は最低品質の奴隷だからな、真面に金なんてかけられない。どんなに高くても基本的に金貨1枚(約10万円)位しかしないしな、更に言うなら従魔も一緒に飼育されているから……まぁ、臭いのは仕方が無い」
前世で子犬工場というのが社会問題になったけど、それに近いかもな。
恐らく中は想像以上に汚いのかも知れない。
中に入った第一印象は……想像以上に酷かった。
状態の悪い奴隷やら獣やら魔物が檻に入っている。
碌に世話してないからか糞尿が処理されてない檻も多い。
しかも、檻が狭く、これじゃ横にもなれそうにない。
最悪の状態だ。
「がるぅぅぅぅぅ」
「買ってーー買ってーー私を買ってーーっ」
「頼む、俺を買ってくれーー」
俺達が入ると奴隷やら魔物やらが叫び出す。
「うるせーぞ……黙れぇぇぇぇーー」
バシッ
鞭の音が鳴り響くと一斉に喋り声がやんだ。
「おや、あんたはゴルマさん? 今日も見世物用の奴隷の購入ですか?」
強面の男が見世物小屋の男に話掛けていた。
「いや、勿論それもあるが、今日はお客を連れてきたんだ。あんたが会いたがってリヒト様だ」
「リヒト様……怪物王子か……丁度見せたかった物があるんだ! ついてきてくれないか?」
「物? 奴隷じゃ無くて……物?」
「見てから判断してくれ、人なのか物なのか…はたまた化け物なのかを……」
意味が解らない。
「どう言う事ですか? 事情を聞かせて貰えませんか?」
「ああっ、大昔の異世界人スズーキ―が作った人工メイドがあるんだが、それが凄く問題でがあって……処分できねーんだ……是非、怪物王子にも見て欲しい……正直騙されて困っている」
スズーキ―? まさか鈴木という苗字か?
人工メイド?
「なにか解りませんが、見させて貰います」
人工?
この世界には、そういう技術は無かった筈だ。
ホルムニクスの技術はあると聞いたが、高名な術師が十年近く時間をかけても成功する確率が低い為、技術としてはあるが実際に行っている人間は居ないと聞いた事がある。
強面の男について行くとそこには……厳重な鉄製の檻に入れられ、更に鎖で繋がれた女性が居た。
こっこれは……思わず目を背けてしまう。
「流石の怪物王子も目を背けたくなりますか? 酷い物でしょう?」
こんな女性がこの世の中に居るのか?
20代半ば~30歳前半位で黒髪の女性で、アニメ顔だ。
カナやミアが大人になったらこう言う顔立ちになるのかも知れない。
アニメの年上のお姉さん、見方によっては人妻にも見えるかも知れない。
目元のホクロがセクシーだ。
それより目がいくのが胸だ。
一つの胸の大きさが頭2個分位いや3個分位は優にある。
スイカ並と言えば良いのか?
巨乳を超え、爆乳と言えば良いのか? 超乳っていうんだっけ?
兎も角、デカい。
爆乳ですら滅多に見ないのに……こんな大きな胸の女性がこの世にいるのか……と思う位大きい。
それでいて、お腹は引っ込んでいて、お尻は大きく、太腿もそれなりにある。
これは……前世で秋葉原で見た、魔改造フィギュア、その物かも知れない。
こういう女性はエロ漫画になら良くいるが、魔改造フィギュアを見た時に……絶対にリアルには居ない。
そう思った。
いや、普通のアニメやマンガにも此処までの体型のキャラクターは見た事が無い。
エロ漫画、エロアニメの住民なら、まぁ結構いるけど……
それより何故鎖で繋がれているのかが解らない。
「容姿も気になるけど、何故鎖で繋がれているのでしょうか? 」
「異世界人スズーキ―は、どういうスキル持ちかは解かっていないが、スキルを使って色々な物を作ったという伝説の人物だ。 過去にはスズーキ―が作ったという魔剣があり聖剣並みに凄かったという話しがある」
「それと彼女が鎖で繋がれているのには何か理由があるのですか?」
「ああっ、そのスズーキ―が最後に作ったのが、この人工メイドでな、スズーキ―の日記に『俺は最強、最高の美女メイドを作った』とあってな……とある貴族が長年探し続けて見つけたのが此奴なのさぁ」
話しを聞く限り、貴重品の様に思えるんだけどな。
「そんな貴重品が何故こんな場所にあるんですか?」
「貴重品? こんな醜い物がかぁ? 此奴はあんたの奴隷以上に顔だけじゃなく体も気持ち悪いだろう! しかも、此奴は恐ろしく凶暴で、暴れ出すと騎士数人掛かりじゃ無いと押さえられない。 それに切り刻んでも、焼いても必ず元の姿で復活し、主人を求めて彷徨うんだぜ」
それって強くて、不死と言う事なのか?
「それが何か問題になるのかな? 主人になれば、そんな凄い人物が仕えてくれる。そう言う事じゃ無いのか?」
「ああっ、そうだ、だがついていた説明書によれば、主人になると義務が生じてなこの化け物みたいな女に1週間に一回SEXをして精子を与えないといけないんだ……しかも、一度主従の関係を結んでしまったら死ぬまで何があっても離れない。そういう風になっているらしい」
「それでも、こんな凄い力を持った相手なら欲しがる人間は居るんじゃないのか?」
「こんな化け物相手にしなくちゃいけないんだぜ……」
「いや、それでも……」
「あのなぁ、怪物王子……やるって事は勃たせないとならねー。 しかも、此奴は、最初の主従関係を結ぶ時に失敗すると『相手を殺してしまう』実際に此奴を戦力として欲しがったB級冒険者はその儀式に失敗して頭を引き千切られた……まぁ、此処に墜ちて来るまでに30人以上の人間が死んでいる」
「それでどうしたいんだ?」
「何時か、鎖を引き千切り、この檻を壊して危害を加えられるか怖くて仕方ねーんだ。 なぁ、怪物王子……お前ならどうだいけそうか? もし、此奴を貰ってくれたら、金貨5枚払う……どうだ!」
「俺は……」
戦闘力は凄い。
それは解った。
メイドというからには家事は得意なのか……もし出来なかったとしてもこれは絶対に買いだ。
「やはり、怪物王子でも無理ですか……」
「大丈夫だ! その条件で受けましょう」
「話は纏まったのですか? この私の主になりたいという方は……私の主になれれば、この美しい私が生涯貴方の物になりますわ! 但し、失敗すれば確実な死を差し上げますわ」
メイドなのに悪役令嬢ボイス……何処までこの俺を萌えさせれば良いんだ。
「一つ聞きたいんだが……メイドと言うからには料理を含む家事は得意なのかな?」
「料理?! 鈴木様から教わった異世界料理なら得意ですわ! カレーにハンバーグ、パスタ何でも作れますわよ!」
凄いぞ! これは、まさかこの世界でカレーライスが食べられるのか。
「裁縫に掃除は?」
「はぁ! 私は最高の美貌を持つ究極のメイドですわ! 完璧に決まってますわ!」
本当に完璧だ。
しかし……鈴木さん……俺と同好の士と見た。
「主従の儀式に挑戦させて貰うよ……流石に見られているのは恥ずかしいから席を外して貰って良いかな?」
「ああっ、構わない……これが檻のカギと鎖のカギ……」
ガラガラガッシャ――ン
鎖は引き千切られ、檻は簡単に破壊された。
「嘘だろう……自分で出られたのか……怪物王子、あとは任せた」
慌てて二人はこの部屋から逃げるように去っていった。
「こんなに美しい私が、お相手して差し上げると言うのに、皆さん勃たないのですわ……貴方はどうですの? 出来ないと言うのなら……殺して……あららっ……凄い事になっていますわね」
エロく魔改造されたフィギュア。
エロ漫画、エロアニメの大きな胸を持った女性。
そんな女性がほぼ下着姿同然で目の前に居て、俺みたいな人間が勃たない訳が無い。
とにかく、下品な程エロイ。
乳輪が大きく巨大な胸の乳首もまた豆みたいに大きい。
こっちに来るたびにユッサユッサと揺れるスカイ程の大きな胸。
大きなヒップに肉付きの良い太腿。
それでいて決して太ってないウエスト。
カナやミアが清純と言うのなら、その真逆の妖艶というのが良く似合う。
エロ漫画……エロ同人誌のキャラクターにしか見えない。
アニメキャラをとんでもない巨乳で肉付きで書いていた同人誌や、人妻や未亡人や高校生を同じく信じられない位巨乳で描いていたエロ漫画を読んだ記憶があるけど……まさにそれだ。
「貴方みたいなセクシーな女性を見たら、こうなるのは当たり前だと思う」
「うふふっ、そうですわね! 貴方は本様に私の魅力が良く解ってらっしゃいますわっ! まるでご主人様を想いだしますわ……それじゃ失礼しますわね」
そう言いながら彼女は俺のズボンを下ろし、大きな胸で挟みながら俺の物を口に含んだ。
快楽に負け……俺はすぐにいってしまった。
不味い、失敗したか……
「あらあら、凄いですわね! 他のインポテンツの男と違ってちゃんとできますのね。 これなら登録は確実ですわね......それじゃ私は準備が出来ていますのでいきますわよ!」
「失敗じゃ無かったんだな......良かった」
「ちゃんと私の魅力が解っているのに失敗の訳ないですわ......この状態ならこのままできますわね」
そう言うと彼女は俺を押し倒し跨ってきた。
「凄いな......」
「ハァハァ、満足して頂いて何よりですわ! 遺伝子を収集させて頂きましたわ……これで登録完了です。今から私の全てはご主人様の物ですわ」
「出さなくてもよかったのか?」
「登録儀式はこれで終了ですわ、勿論、もう私はもうご主人様の物ですわ! 最後までいくのがお望みならこのまま続けさせて頂きますわ」
「それは此処を出てからお願いするからあとで良いよ」
流石にこんな場所では、恥ずかしくてしたくない。
「そうですか? 残念ですわ……」
「そう言えば名前は……俺はリヒトだけど」
「私はアヤカと呼ばれていましたが、ご主人様の好きな名前をつけて頂いても構いませんわ」
日本人みたいな名前で似合っているからそのままで良いな。
「それじゃ、そのままアヤカで……」
「はい、ご主人様」
その後、俺は此処の主を呼び、成功した事を伝え金貨5枚を報酬として貰った。
◆◆◆
「こちらとしては厄介払いが出来て良かったが……リヒト様ってあれでも勃つんだな……繋いでくれてありがとうな」
「いいって事よ、しかし、ブス専って本物だったんだ……まさに怪物王子だ……」
「ああっ……ほんとにすげーや」
金貨5枚は痛いが、あれで勃つような変態は二人と居ないだろう。
ようやく厄介払いが出来た。
これで今夜から安心して眠れる。
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