第21話 合法みたいです


ミアを購入して思った。


確かに凄く可愛いが、大変だ。


「本当に役立たずで、ごめんなさい……」


ウルウルした瞳で見つめながら話してくる。


全く歩けない訳ではないが、50メートルも歩けない。


手を繋いで少し歩いたが、簡単にいえばようやく歩けるようになった赤ん坊と同レベルすぐに転びそうになる。


これじゃ、食事のトレーや紅茶も怖くて運ばせる事は出来ない。


それに俗にいう『お姫様抱っこ』も出来ない。


考えてくれ……ボーリング玉より大きな頭部が、細い首に繋がっているんだ。あんな体制にしたら首がもげるんじゃないかと言う位に危ない。


頭部の後ろを支えればどうにかなるが、今度は体が軽すぎてバランスが悪く抱きにくい。


もし、抱くのなら首が座らない赤ちゃんを扱うように抱くしかない。


今後必要なら、抱っこ紐が必要かも知れないな。


今は……おんぶしている。


しかも、やや前かがみして顎を右肩に乗せた感じだ。


「気にする必要はないよ、知った上で買ったんだから」


「それなら良いんですが……」


他にも沢山問題がある。


ミアはシーツを撒いただけで服を着ていない。


奴隷の服と言えば貫頭衣だが、ミアの場合は頭が大きくて通らない。


頭が通ったらそのままストンと落ちてしまう。


この世界、ボタンで留める様な服は少なく、あっても高級品が多い。


前世で言うTシャツみたいに頭からかぶる服が殆どだ。


これはもう作るしかないな。


確かに普通の奴隷として使うのは凄く不便だ。


まぁ……可愛いから良いんだけど。


「そう言えば、奴隷になる前はミアは何をしていたの?」


「私は何もしていませんね……こんな容姿ですから小さい頃から蔵に閉じ込められていました。 ただ、頭が少しだけ良かったみたいで、蔵で暮らしながら書類仕事だけしていました」


書類仕事?


「もしかして、ミアは良い家の子だったりするの?」


「どうでしょう……解らないですよ……蔵から出た事が赤ん坊の頃から殆どなくて、ただ文字や数学を習って、書類仕事をしていたですから……ですが、書類の内容からして村のそこそこ偉い人だったのかも知れません」


「そう……なんだ」



『あれ、リヒトじゃないか? また変なのを連れているぞ』


『あの背中の物体は人間なのかな? 新種の化け物なのかな?』


『私A級冒険者のリヒトさんに憧れていったけど、ブス専とおり越して化専だったなんてショックだわ』


『あの英雄リヒトがあそこ迄壊れるなんて……あれ狩った魔物とかじゃないだよな』


『こういう時は見ないであげるものよ』


『そうよ、見ないであげるのが思いやりよ』


嫌な言葉が聞こえてくるけど、俺には関係ないな。


「あの……」


「まぁ、気にしないで良いよ! 俺は皆からブス専だと思われているようだから……」


「そう、なのですか? 」


「まぁね、俺から見たらミアもかなりの……美少女だよ」


いや、今見てみたら確かに可愛い。


だが、ミアは……かなり幼く見える。


簡単にいうなら『魔法少女のヒロイン』それも変身する前。


もしくはロリコンマンガの主人公にしか見えない。


あれって、幾つの設定だったっけ?


確か10歳だった気がする。


元々カナの友達として購入したのだから、そう言う気はない。


だが、一体何歳なのだろうか?


「ミアって何歳?」


「やはり聞いちゃいますか? 実は結構な齢なんですよ! もう成人年齢は過ぎていますよ……それ以上は内緒です!」


どうやら齢は教えたくないようだ。


「そう……大人なんだ」


「ご主人様よりは確実に年上だと思います!」


「へぇ~」


まぁ、大人ならいいや。


◆◆◆


「あの、ご主人様、もしかしてHな事考えていますか?」


「いや、それは考えて無いけど?」


本当の年齢は兎も角、この見た目は流石に不味いだろう。


「もし期待していたなら……ごめんなさい……出来る事は少ないです」


「一応、聞くけど? なにか理由があるの?」


別になにかする気はないが、なんとなく気になる。


「実はですね……」


なんてことは無い。


頭が重くて思うように動けなくて、所謂マグロ状態。


更にミアが無理して上になるとミアの力が抜けた時に頭がぶつかって大変な事になる可能性があるそうだ。


「そうなんだ……」


「一応奴隷なんで、男性の上に跨ってみたのですが力が抜けて頭突きしてしまって……相手の鼻の骨が折れちゃって大変な事になりました」


まぁ真面に歩けないんだから、そうなるだろうな……


この大きな頭で頭突きされたら……確かに危ないな。


「そうだったんだ……ああっ着いたよ! それじゃ入ろうか? 最初に言っておくけど、仲間がもう一人居て、ミアに友達になって貰いたいんだ」


「私とですか?……逆に相手が……」


「多分、大丈夫だよ」


カナが喜んでくれるといいな。



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