第19話 なかなか居ない

友達が欲しいか……


何もねだらないカナが欲しいというのだからどうにかしたいが……難しいな。


一つはカナの容姿だ。


俺にとって最高の美少女のカナだが、他の人には理解されない。


次は俺の好みだ。


俺にとってカナは最高の美少女。


恐らく同じように他の人間を愛せる自信が無い。


カナに比べたら前世のトップアイドルでもハリウッドスターでも見劣る。


最高の奴隷エルフですら、俺にはそんな価値があると思えない。


俺はカナが居るだけで充分なんだよな。


だけど、討伐にカナは連れていけないし、誰も知り合いがいないのだから寂しいのは解る。


この先、この街に住み続けるとは限らない。


そう考えたら……やはり奴隷一択しかないのかも知れない。


だが……問題は……


「あの子みたいな奴隷ですか……居る訳ないでしょう」


カナを購入した奴隷商に行ってみたがそう言われた。


一応、お店を見させて貰ったが……まぁ普通の奴隷しか居ない。


やはり、無理なんじゃ無いかな……


「ありがとう……」


お礼を言ってお店を後にしようとしたが……


「あの子みたいなタイプが居るかどうかは解らないが、容姿の可笑しい奴隷や価値の無い奴隷が欲しいなら『ジャンク』を探すしかないね」


「ジャンク?」


「ガラクタって意味ですよ! 容姿が醜い奴隷や四肢のどこかが欠けた奴隷とかの専門の店ですね」


そういう店があるのか?


「それって何処にあるんですか?」


「スラム街の近くにある看板が無い店がそうですね。そこに居なければ奴隷市場の外で販売されている奴隷辺りを見ればいるかも……心当たりはそんな所です」


「奴隷市場の外ですか?」


「今この街の外れで奴隷市が開催されているんですよ。 尤も市場で競りに掛けられているのはそれなりに価値のある奴隷です。 その市場で競りにかけられなかった奴隷や、売れ残った奴隷を市場の外で檻に並べて販売しています……見世物小屋に引き取られる存在もいるみたいですから、居るかも知れませんね」


わざわざ教えてくれたんだから行ってみるか?


「ありがとう!」


お礼を言うと奴隷商を後にした。


◆◆◆


取り敢えず、スラム街の傍にある奴隷商にきてみた。


「いらっしゃい……」


不愛想な男が挨拶してきたが……汚いし臭いな。


まるで前世でいう所の手入れが行き届いて無いペットショップみたいな臭いだ。


「見させて貰っても良いかな?」


「どうぞ……だが、旦那、此処がどういう奴隷を扱っているのか、知っているんですよね……」


「ああっ……」


「なら、どうぞ! 嫌な思いをするかも知れませんがね」


薄気味悪く、店主が嗤った。


まるでお化け屋敷に入るみたいだ。


入って奴隷を見た瞬間から解った。


『価値が無い』という意味がこう言う事だったのか……


手足が無い者や大きな火傷をした者ばかりだ……


治せないような傷や怪我をしているだけで、それ以外は普通の人だ。


あと、偶に真面そうな女性がいても檻に『性病あり』と書いてある。


「……」


「……」


誰も彼もが死んだ様な目をしていて動かない。


完全に見込み違いだ。


可哀そう……そうは思うが、此処には用はないな。


「すみません、お邪魔しました」


「……あんた、どんな奴隷を探しているんだ……」


「健康だけど、ちょっと容姿が違う様な……」


「なんだ、見世物小屋に使う奴か……それは此処には居ない。居るとすれば奴隷市の外側だな」


やはりそこなのか?


「やはり、そこですか?」


「ああっ、それも行くなら最終日、明後日の夕方がよいだろう! 普通に売れない奴隷の売れ残り、その中になら、見世物向きの容姿の奴隷も居るかもしれないな……」


「そうですか……ありがとうございます」


そこを見に行って居なかったら、もう諦めよう……


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