第16話 初めての......

この世界の宗教はイシュタス教。


結婚をする場合、手続きは所属ギルドへの手続きか事実婚をし親類や知り合いに伝える事で完了する。


教会で式を挙げるのは宗教的な事と知り合いへの告知しか意味はない。


俺やカナは知り合いと言える人間は少ないし、別に熱心なイシュタス教徒じゃない。


とはいえ、何もしないのは寂しいから、結婚式の真似事だけしてみる事にしたんだ。


カナに新しく買ってきた服に着替えて貰う。


失敗した……指輪の交換はもう終わってしまった……


なんか少し物足りない。


そうだ……この前、服を作った端切れをベール代わりにカナにかぶせてみた。


「ウエディングドレスってこんな感じだよな」


カナはきょとんとした顔で俺を見ている。


どうやらウエディングドレス自体知らないみたいだ。


「あのリヒト様、これって……」


「ウエディングドレス、俺が居た世界で結婚の誓いの時に着る服を真似てみたんだ……それじゃ、新郎リヒト、貴方は此処にいるカナを病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?……誓います!」


「え~と私は……」


「大丈夫落ちついて、誓ってくれれば大丈夫だから! 新婦カナ、貴方は此処にいるリヒトを病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」


「誓います!」


あとは……うわ……忘れた


「では此処に、神の名のもと新郎リヒトと新婦カナの婚姻が成されました……誓いのキスを交わし永遠の愛の誓いとします」


もう、この辺は解らないから……これでいいか……


俺が唇を近づけるとカナが目を瞑った。


そのまま、俺はカナに誓いのキスをした。


潤んでいるカナの瞳が凄く綺麗に見えた。


◆◆◆


あの後、買ってきた豪華な食事をしワインを飲みケーキを食べた。


何を話したか忘れたが、沢山話しをした気がする。


そして、今はシャワーを浴び……二人して裸で並んでベッドにいる。


緊張して二人してただ並んでいるだけだ。


経験はある……だけど、好きな子とか恋愛からの経験は無い。


カナが相手だとどうして良いか解らない。


「なんだか、その気にならないな……」


つい口をついて出てしまった。


「ぐすっ、やはり私が醜いからですか……」


「それはもう充分話したじゃないか? カナは俺にとって最高の美女だよ!」


「だったら、何故ですか?」


可愛いからか、好きだからかなのか下半身が反応しない......困った。


「う~ん……」


「リヒト様、夜中こっそり起きて歓楽街にいかれていたじゃないですか? 他の子には出来て私には出来ないんですか?」


気がつかれてたのか......


「それを言われると、困るんだけど! なんと言うかな、大切な宝物を傷つけたくないというか……憧れの女神様や王女様に不埒な考えを持つのはいけないというか……う~ん」


目の前に本物の推しのアニメのキャラが現れたら、そういうのなかなか出来ないだろう……今の俺はそんな状態だ。


『憧れ』が強すぎるのか? 嬉しい感情はマックスなのに肝心の性欲が暴れ出さない。


「あの……嬉しいけど、私そんな綺麗な存在じゃないです……恥ずかしいですが……リヒト様が居ない時にリヒト様を想って……その自分でした事がありますから……」


そう言うとカナは顔を真っ赤にして俺の胸元に顔をうずめた。


カナが俺を想って1人で……


そう聞いた途端元気になるんだから本当に現金なものだ。


毛布を捲り、カナの可愛らしい唇にキスをした。


「あん」


可愛らしい声でカナがあえいだ。


そのまま、手を下半身に伸ばすとカナは恥ずかしいのか、顔を左右に振って……


「だ……だめ……」と下半身に力を入れ拒んだ。


「カナ、俺達もう夫婦だから……」


そう俺が伝えると……


「えへっ……そうでした」


強張った感じが抜け嬉しそうな笑顔へカナの表情が変わった。


そこからのカナは下から俺を抱き寄せ……自分から俺を受け入れてくれ……この日俺達は本当の意味で1つになれた。




◆◆◆


「おはよう……リヒト」


そう呼ぶ、カナの顔が赤い。


毛布が捲れてカナの形の良い胸とその先に綺麗なピンクの乳首がちらりと見えている。


リヒトとカナが呼んでいるのは、昨日俺がそう呼ぶように頼んだからだ。


「おはよう……カナ」


月明かりで見たカナも綺麗だけど、お日様の光で見るカナも凄く綺麗だ。


体をあわせて解ったけど、カナは肌も凄く綺麗でシミどころかホクロすらない。


「あの……リヒト、その起きなくて良いの?」


欲望が止まらず、俺はカナをつい抱きしめてしまった。


「カナはどうしたいの?」


「リヒトは意地悪です……言わないと駄目ですか?」


そう言いながら、カナも強く俺を抱き締め返してきた。


結局、誘惑に逆らえずそのままなし崩し的にお互いを貪り、気が付くとお日様が真上にまで上がっていた。



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