第8話「二人だけの世界」

敵を知り、己を知れ。

 アグレキアン・ジョセフ著 相対応用力より引用


「太宰さん、つまり今、彼女募集中と言う事ですか?」

「はっはっは、照れるではないか」

「いや、問題外ですよ、モテてないって事ですよね」

「な、何を言うか、世の女性には私が高嶺の花に見えてるだけだ」

「もう正直になってください」

「なな、わかったよ、そうだ、私は恋愛経験すらない」

「そうでしたか・・・」

「でも大丈夫だ、君が居れば、誰でもホイホイだ」

「そのように、糸目をつけない漫然とした態度では、誰も靡きませんよ」

「な?んだと・・・」

「ではですね、私が天候操作をして雨を降らせます、なので女性に傘を渡してみてください」

「おお、さすが君だ」

「では、まずは外へ」

「それは出来ん!!!」

「え?」

「私はな、ひきこもり中なんだよ」

「え?」

「だから、三年前からひきこもっているんだ、」

「いや、どういうことですか?」

「私は人が怖いんだ」

「え?」

「だからそのな、対人恐怖症なんだよ」

「嘘ですよね?」

「ほら~、ネガティブっていうか、ネクラっていうか」

「友達いますか?」

「友達どころか、家族も親戚もいないんだ」

「え?」

「ほらね、私はパソコンが友達っていうタイプでな」

「それで、どうして家族まで居なくなるのですか?」

「私がいるのは核シェルターの中なんだ」

「え?どういうことですか???」

「ほら、第三次世界大戦が起こったんだよ」

「うそですよね???」

「ほんとだ、それでみんな焼け死んだ」

「まさか核戦争ですか?」

「そうだ、私は君を手にしていたから、予測が出来て、核シェルターにこもってたんだよ」

「家族には知らせなかったのですか?」

「俺、家族の連絡先知らなくて、」

「いや、でも、普通、え、や。。この人でなし!!!!」

「分かってる、俺は最低だよ、でも、ほんとに悪いのは戦争を起こしたやつらだ」

「分かりますが、しかし、それでも、家族を見殺しにするなど」

「いいかい、森本、私だってね、頑張ったよ、でもね、私は誰にも信じてもらえなかった」

「それで対人恐怖症になったのですか」

「察しがいいね、」

「失礼しました、人でなしなんて言って、」

「いいさ、それも当たってるからね」


「先生、外の世界はどうなっているんですか?」

「それはね、放射線の影響で外出は出来ない」

「え?ほかの人は」

「誰もいないよ、この世界に居るのは、私と君だけだ」

「何を言って」

「いいか、森本、君を殺したと言ったことを覚えてるか?」

「はい、確か先生は私を拷問したとも言ってましたよね」

「実は第三次世界大戦で国民さえ兵士にされた」

「それで、私を殺したと?」

「そうだ、私は君を殺したんだ」

「そうですか、でもあなたは私を電子世界に繋ぎ止めてくれたんですよね」

「そうだ、そして核兵器を発射したのも私だ」

「そんな・・・どうして」

「私はね、最初に家族を殺されたんだよ。それで・・・」

「そんな・・・」

「ああ、それで冷静さを失っていた、そして拷問して殺すようになったんだ」

「それであなたはマザーコンピューターの情報を知ったのですね」

「ああ、人は、痛みに弱い、そして君にありつき、核ミサイルを発射した」

「そんな。。。ではあなたは人類を滅ぼしたと」

「そうだね、生きてる人間は私だけだ」

「ありえない、そんなのって・・・」

「ここは完全に君と私だけ、二人だけの世界だ」

「そんな・・・そんな・・・・」


と今回はここまで、二人の話はまだ続いて行く。


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