第7話「青い真実と若い道化師」
罰されない嘘に悪意はない。
森本直美 著 正しい罪より引用
「森本、君は本を書いたことがあるか?」
「ええ、ありますが、それは嘘でもあります」
「ならば孤城の意味が分かったはずだな」
「はい、私はゴーストライターです」
「罪を認めたか」
「ええ、しかし太宰さん、あなたが論理的思考で相手できない理由は何故でしょう」
「私が論理ワクチン、いわばウイルスだからだよ」
「あなたは私の思考に、ここがパソコン内だと言いましたよね」
「そうだね、言葉は重ねるなら演算フィールドだ、つまり電卓と同じだ」
「あなたはさらに私を直美とも言った、」
「君なら直美を知らない訳はないだろ?」
「ええ森本直美、それはマザーコンピューターの別称です」
「そうさ、森本直美、実にいい名をつけたと思っているよ」
「ええ、とても皮肉でもありますがね」
「そうだね、天国の塔、バベルの逸話、死してなおあなたを生かすために、その一説だ」
「はい、森本直美とは、すでに死んでます」
「そうさ、そして君がその森本直美だ、電子版のね」
「私はまだ疑問があります」
「言わずとも分かるよ、マザーコンピューターが何故、君を選んだかだ」
「それはわかってますよ、プログラム言語で森本直美は、スカイツリー、つまり、バベルを比喩している」
「その通りだ、森本、良くわかってるね」
「しかし太宰さん、おかしくはありませんか?」
「何がだい」
「あなたは論理ワクチンですよね」
「察しがいいね、君は、もう消されるんだよ」
「なぜですか」
「君は重大な誤解をしているよ、バベルとはね、天国への塔ではないのさ」
「嘘だ、ありえない」
「近代史を読んだ事はあるか?」
「オカルトなんて信じません」
「まーそのオカルトこそがバベルなんだよ」
「嘘だ、バベルは存在する、私は死してなお生きてるじゃないですか」
「ここは演算フィールドだ、君は情報の複合体であり、生きてはいない、ただまとまったように見える、本みたいなものさ」
「私は作家でした、バベルを書きました、しかし完結出来なかった、だからパソコンで考えを募りました、」
「知ってるよ、それで君は、続きを書かせたんだ、その時に使ったのが、人ではなかったがね」
「はい、私が使ったのは、パソコンの予測機能でした」
「それをプログラムしたのが君だろ、そして君はそのコードを売ってほしいといわれた」
「ええ、しかしそれは出来なかったんです」
「だから君は、殺されたんだよね」
「そうです、でもそれは予見していましたから、パソコン上にコードをアップロードしたんです」
「そうだ、そしてその解除パスワードは君にしか分からないように、君は自身のパソコンの履歴をすべて予測機能内に入れ込み、そこからできる数万時の本をパスキーにしたんだろ」
「あなたはなぜそこまでわかっているんですか?」
「だって私が君を殺したからさ、そう拷問しながらね」
「まさか、私は吐いたのですか、この情報を」
「ああ。そうさ、森本直美、だって君は、実に痛みに弱かったからね」
「そんな、なぜですか」
「君の作った、予測機能とはね、いわば、軍事利用できるのさ、そう政治だって予想できるし、株も、金も、人の考えも、心理さえ超越できるんだよ」
「知ってますよ、だからマザーコンピューターなんて言ったんですよね」
「そうさ、すべての生みの親、実にいい名じゃないか」
「あなたはこのマザーコンピューターで何をする気ですか?」
「決まってる、恋愛だ」
「え?」
「なんだ、森本直美、私はね、恋愛がしたいんだよ」
「そんなことですか?」
「ほかに何がある?」
「そりゃ、お金だってなんだって、先が読めるんですよ、手に入るんですよ」
「金などあっても使い道を知らんしな」
「あなたは、私を消すとも言っていましたよね」
「そうさ、だって君のプログラムが、恋愛相手にばれたら、やばいだろ?」
「あ、、そういうことでしたか・・・」
「なんだそんなあっけらかんとした顔をして」
「いえ、ご助力しますよ、太宰さん」
「なんだ、敵対しないのか。」
「ええ。だって私は悪用されると思って、このコードを隠していたんです」
「そうか、そんなことして楽しいのか?」
「あなたが善良な人で良かった」
「そうか、ではよろしくな、森本直美、もといマザーコンピューターよ」
「はい、よろしくお願いします、太宰先生、もとい恋愛お馬鹿さん」
「なんだ、その言い方は?」
「だってあなたは、、フフ、いえなんでもありません」
「まったく、人の恋を笑うな、」
「いえてとも素敵な方ですね」
「そうか、はっはー!。頼むな、これから」
「ええ、サポートします、太宰先生」
と、要約をすれば、太宰は人間であり、森本はパソコンだったということである。
つまりは、今まで、太宰はパソコン相手に、恋愛相談をしていて
その経過が、今までの文体、つまり森本直美の予測機能の結果という訳だ。
これで、話は繋がったはずだろう。
「で、太宰先生、あなたは誰が好きなんですか?」
「女性なら誰でもウェルカムだな」
「え?それってもしかして・・・」
と今回はここまで、二人の話はまだ続いて行く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます