歪んでいるのは世界か、僕か。

@siu-55

第1話

周りの雑音が頭痛を施すほどこすため、新しく性能のいいヘッドホンを買おうと思う。リビングの音が僕の自室まで響くので、極力家族がいる時間帯は外に出かけるようにする。消して両親が嫌いなわけではない。ただ、人間が奏でる音があまりにも不快ふかいに感じてしまうから1つづつ遮断しゃだんしていくことにした。

それでも寝れない夜に、昔好きだった人のことをふと、思い出し、夏休みの終わり夏祭りに行き、花火を見て夜の10時まで外で遊んだこと。夜中特に意味の無い電話をして胸を高鳴らせたこと。優しく包み込んでくれた暖かい温もりは思い出せてもその人の声がどうしても思い出せない。人間が忘れていく順番は聴覚・視覚・触覚・味覚・嗅覚だと前にほんに書いてあった気がした普段はあんなに不愉快で僕がいちばん意識していることなのに時間が経てばすぐに忘れてしまうなんて、なんだか腹が立ってきて、僕は外の新鮮な酸素を吸いに静かに家を出た。

深夜2時頃の酸素の薄そうな空気を吸いながら、誰もいない街を歩くことが好きだ、その瞬間だけ僕の耳が無防備になり冬場は耳に寒気が当たって耳がジンジンと悲鳴をあげるから決まってフードを被る、誰もいなくなったゴーストタウンのような街に住むことが僕の絶対に叶うことがない夢だ。もしも犯罪をしても捕まらなくなったら、寝静まった街を一気に焼き尽くすか、深い深い深海に沈めて静かな眠りについていて欲しい、そして、僕も最後は皆さんと一緒に逝きたい一人だけ取り残されるのは本当に孤独に孤独になることだと思うから。

近くの公園で、二十四時間三百六十五日頑張って動いている自動販売機に目をやり、ズボンのポケットに手を入れた。凍るように冷たい銀色の白銀を握り締め昔より20円値上がりした缶コーヒーと真ん中に小さな穴の空いたさっきより一回り小さい白銀を手に入れ帰り道にちびちびと缶コーヒーを歩きながら、飲んだ、冬場に買う暖かい飲み物は飲料としてだけではなくこんなにも人の心、体温を暖かくしてくれる効果があるためなんだかお得な気がする。

着替えてベットに潜り少しつづ明るくなっていく外の景色をぼんやりと見つめていた空間が歪んでいるのは、上手く呼吸が出来ないのは、文字が動いて見えるのはこの世界の終わりが近ずいているからなのか、それとも終わるのは僕の方なのか。様々な疑問が浮かび1つづつ考察していくなら、それはきっととても退屈な事だろう。

1粒減った状態のPTP包装シートを握り締め僕の視界から光は消えていった。

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