〇03
夜の街をひと回りして帰ってきた。と、今日は家主が帰っていやがるな、もうちょいどっかで時間を潰さねば。
深夜の電気店から配信をしていた俺だったが、いかんせん時間帯がよろしくねえ。店員や警備員が帰ってからの丑三つ時の配信では、視聴者層も限られてくる。
そんなわけで、昼や夕方に落ち着いて配信できる環境を求めて町中を探し回り始めたのが半年ほど前、先週になってようやく一件のアパートを見つけた。
新築だから他の幽霊の縄張りにもなっていないし、寺や神社からも離れていて霊的なトラブルもなさそうだ。何よりWi-Fiがしっかりと屋根裏まで届いていて、俺のような根なし草の幽霊配信者にとってこの上ない環境だ。
さっそく、電気店の倉庫で捨てられそうになっていたPCとカメラを失敬してきてこのアパートの一室の屋根裏を配信スタジオとしたってわけだ。
部屋の住人は大学生の女らしいが、授業やらバイトやらで家にいる時間は少ない。霊感も弱いようで、俺が屋根裏にいても特に具合が悪くなるということもなさそうだ。
とはいえ、屋根裏を間借りしている身としては極力気を使うべきってのが俺の信条だ。
だもんで、今日みたいに家主がいるときは、なるべく外で時間を潰して余計なことがおきないようにしてるってわけ。
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