信じてもいい?
寝ても覚めても、考えるのは衛藤さんのことばかりだ。
頭の中で思っているのは、いつも衛藤さんのことばかりだ。
目を開けても、目を閉じても…いつも浮かぶのは、衛藤さんだけである
その日も目を開けると、
「萌波」
目があった瞬間に、衛藤さんは私の名前を呼んできた。
私の手と彼の手は繋がったままである。
「ーー夢じゃないんでしょ…?」
意識が消えないように、私は唇を動かして訪ねた。
それに対して、衛藤さんは訳がわからないと言うように首を傾げた。
「ーーあなたがここにいて、私の手を握っていることよ」
私は言った。
そっと、自分から彼の手を握ったら…彼は優しく、私のその手を握り返してきた。
「ーー私、もう考えられないの」
いつもいつも、あなたのことを思っている。
寝ても覚めても、あなたのことばかりを考えている。
もうあなたなしで生きていくことなんてできないのかも知れない。
「衛藤さん――敦仁さんしか見えないの」
自分の気持ちを言った私に、衛藤さんはフッと笑みを見せてきた。
「ーーそのセリフ、信じてもいいのかい?」
そう聞いてきた衛藤さんに、私は首を縦に振ってうなずいた。
「ーー萌波が私を好きだってことも信じていいのかい?」
続けて聞いてきた衛藤さんに、私はまた首を縦に振ってうなずいた。
「ーー私も…あなたを信じていいですか…?」
そう聞いた私に、
「ーーもちろんだよ、私は出会ったその瞬間から萌波に恋してた」
衛藤さんは答えてくれた。
気がついた時には、私の目の前に衛藤さんの肩があった。
ーーああ…私は今、衛藤さんに抱きしめられているんだ…。
「萌波」
衛藤さんが私の名前を呼んだ。
信じてもいい、彼を――衛藤さんを信じてもいいんだ…。
今思うと、大事なものを失くしてよかったと思った。
何故なら、こうして彼に出会えて彼に恋をしたのだから。
「ーー敦仁さん…」
その広い背中に、私は自分の両手を回した。
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