犯人からの挑戦状
さて、これで誰が犯人であるかを推理する情報は提示できたはずです。
このような言い回しからピンとくる人もいると思いますが、これは犯人である私が送るあなたへの挑戦状です。
私が殺人事件の犯人となったからには、一度はしてみたかったのです。私がこの洋館で7人全員が死んでいる事件を計画した理由の1つには、何人にも解くことのできないミステリを案出したかったからというのもあります。
そうは言いますが、本当に誰も解くことのできないミステリを作ってしまうのは、ミステリの禁忌であります。証拠を全く提示しなければいいのですからね。しかし、証拠が無ければ、推理する探偵が不憫でなりませんし、遊び甲斐が無くこちらも面白くない。
ですから、私はわざと証拠を残しました。まあ、誰かが証拠を処分していなければいいのですが……
おっと、ここまで言ってしまえば、梅野司が犯人でないことは分かってしまいますね。
申し訳ありません。探偵の楽しみを1つ潰してしまいました。
これ以上、楽しみを潰さないために、先に言っておきますが、今使っている一人称が「私」だから、あいつが犯人だ! などという推理はご勘弁を願います。
あなた達がそういうせこい手法で、本筋と関係のない所で犯人を確定してしまうのはあまりにも
今、私は「私」をあえて使っているとしましょう。そして、この喋り口調もわざと変えているという前提にしましょう。
これで、大丈夫ですかね。
ああ、もちろんですが、今まで出てきた登場人物の中に犯人がいますよ。剛の独白の中で出てきた岡本や登山サークルが自殺未遂に追い込んだ小島の遺族や関係者が復讐で今回の事件を起こしたなどという不意打ちの結末は用意していません。
きちんとセリフのある登場人物が犯人になりますので、かなり選択肢は絞られてきますね。
先ほども言いましたが、せこい手法での推理は避けていただきたいので、勘だとか、こいつが怪しいからとか、あの回収されていない謎があるからだとかいう理由で、犯人を決めつけることはやめてください。
流石に、全部の事件のトリックまで当てろとは言いませんから、登場人物のこの行動から、犯人はこいつだ!
なんて推理をしてください。そして、それができれば、7人も死んでいるので、1人くらいはトリックを当ててみてくださいね。お勧めは、美空の殺し方でしょうかね。密室、血の手形、火事と盛りだくさんでしたし、1番解きやすい気がしますよ。
それと正直に言えば、今までされた推理よりもネタバラシされる結末は、少し突飛と思われるかもしれません。しかし、私は私であの狭い洋館で矢継ぎ早に殺人を行うという縛りの中でやっているのですから、少しの飛躍は許してもらいたいものです。
それに、もう1つ大きな縛りもありますしね。
まあ、ぐだぐだと犯人が無駄なこと喋っていないで、早くこの先を見せてくれと言われそうですが、
本当に、私の正体は分かりましたか?
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