第3話母がガンになる

夏休み。ヒロシの高校は進学校なので、夏休みと言っても補習があった。

進学を目指す生徒は出席。高卒で働くと決めた生徒は休む。

ヒロシもちと勉強時間が短いが、家でも6時間は勉強していた。

夏休み、志望校を絞る。模試でB判定だった。

危ない!

補習をして、部活を頑張り(弓道部)、帰宅したら、風呂入って、飯食べて勉強をしていた。

すると、ある日、母親の顔色が良くない。

理由を聞いたら、乳ガンだったらしい。

直ぐに手術となった。

父親は長距離運転手で留守にしていたので、家事はヒロシとヨシオが分担して過ごした。

それから、数ヶ月後、母親は仕事に復帰。

いつもの生活が始まった。

ヒロシは考えた。

大学に進学していい家庭なのだろうか?うちはビンボーだ。

もちろん、ヒロシとヨシオは週末はバイトしていた。

1日3時間で、月6万円。

自分の事は自分の給料で賄った。

さて、いよいよ、大学受験。

勉強が忙しくなると、また、母が入院した。

子宮ガンだと。


ヒロシは諦めたが、母ががん保険を全て大学の入学金に回した。

その時、既に志望校とは別の大学入学が決定していた。

場所は関東。九州から凄く離れている。

罪悪感がした。

だが、大学1年の夏休み、母の体調が思わしくない事を知り、もう、大学は諦めて、働こうと思った。

後期に六十万円も払わなければいけない。

7月、大学に退学届けを出した。

冬までバイトをして、一旦九州に帰った。

そして、直ぐに出てアルバイトをしながら、就職活動した。

介護の面接を受けた。

採用通知が来たのは21歳の7月の事だった。

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少年時代の夏 羽弦トリス @September-0919

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