冷凍みかんは恋の味

 私は一般的な学生だ。したがって人並みに性欲がある。何が言いたいかというと、私も人並みに恋愛をするということ。

 

 私はたくさんの恋を経験してきたのだが、どれも成就した試しがない。

 そんな私でも、お付き合いをしている人がいた。いた、ということは、もう過去形になってしまったということだ。


 私が振られた翌日の給食には、冷凍みかんが提供された。甘くて冷たい、非常に美味な食べ物だが、なぜ12月に出すのだろうか。よくわからない。


 冷凍みかんは凍っているからなのか甘みが凝縮している。でも砂糖が添加されているわけではないから酸味もそのまま。

 

 薄い皮を剥がしてみかんを口に放り込むと、程よい酸味と甘味と、それから冷たさが口に広がった。

 知覚過敏の私の歯に、冷凍みかんの冷気が容赦なく染み入っていく。

 甘くて酸っぱくて、少し痛い。


 青春を甘酸っぱいと形容する人はたくさんいる。でも、失恋して偏屈者の私は思うのだ。

 甘いものも酸っぱいものも、それを味わうためには相応の痛みを受けなきゃいけない。


 冷凍みかんの、その痛みも風情と思える人になりたい。

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昼飯の時間! 音羽 @TnkSgeio

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