米が着るドレス

  私は給食の米がどうも苦手だ。どうしても柔らかすぎる。おかずや味噌汁と一緒じゃないと食べられない。家で食べるお米はいいんだ。柔らか過ぎるのがいけない。

 

 そんな給食のお米が苦手な私が、唯一米単体で食べることができる日。それは、月に一度あるかないかのわかめごはんの日。

 少々多すぎるくらいの水分を含んだ米粒のその一粒一粒が、真っ黒なわかめのドレスを着ている。

 

 「わかめごはん」

 なんという甘美な響き。米の甘さとわかめのしょっぱさが絶妙にマッチして、ほかには再現できないハーモニーを奏でている。これを書いているだけで唾液が分泌されるのは私だけではないはずだ。

 

 水分が多すぎる、ちょっとベチャッとした印象さえ受ける給食の米が、わかめと出会うだけでここまでの変身を遂げるのは、少々驚きだ。

 

 米に合うおかずというものが大量に開発される中で、わかめと米という組み合わせだけは、未来永劫残していってほしいものだ。


今日も驚きと感動を与えてくれたわかめと米に手を合わせて

「ごちそうさまでした」

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