昼飯の時間!

音羽

喉の中のねずみ

 私は給食のうどんが好きだ。絶妙に開けづらい袋に入っている絶妙な食感のソフト麺、あっさりした醤油ベースのスープ。そのすべてが至高の領域に達している。

 

 ただ、大好きなうどんをすすると、喉の中からアイツが出てくる。喉の中に住むちいさなちいさなねずみが。

うどんをすするたびに、喉の奥のねずみが

「カマッテクレヨー」

とあばれて叫ぶ。その騒ぎ具合に、私はむせこんでしまう。

 お茶を飲んで構ってやって、落ち着いたところでひとすすり。するとまた、喉のねずみが

「カマッテクレヨ」

と言い出す。食事どころの騒ぎじゃない。

 このようにして、私の楽しいうどんタイムは、ねずみのご機嫌取りタイムへと変貌した。


 私のねずみの騒ぎようを聞きつけてか、他の人の喉に住むねずみも目を覚まして騒ぎ出した。

 ごほごほ、げほげほ。

 教室中で、ねずみの大合唱。


 わたしはたまらず笑い出した。ただのうどんでみんながむせてしまう。一人が咳をすると、それが誰かに伝染する。そのようすがなんともおかしかった。


 美味しいうどんと、楽しい給食。それをもたらしてくれた調理師さんと喉の中のねずみに感謝を込めて


ごちそうさまでした

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