第6話 頑張ってるよ

 暗くなる前にギルドに戻ってこられた。

「おかえり、アルくん。どうだった?」

「アンナさん、ただいまです♪ 薬草類の鑑定お願いします」

 と言って袋から採取したものを取り出していく。


「はーい、まぁ! たくさん採ったわねぇ」

「はい、頑張りましたよ」


「すぐ鑑定しちゃうわね、そこに座って良い子で待っててね」

「ふぁい」

 やっぱりいい匂いがしますなぁ‥‥‥。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「くふふふ、アンナさぁ〜ん」

「アルくん! アルくんってば!! 起きて!」


 アンナさんに起こされた。

「はっ! すみません、寝てましたか?」

「ずいぶんとお疲れだったみたいねぇ、査定出来たわよ。はい、コレがアルくんの冒険者としての初稼ぎね」


 置いてあったのは飛竜バイトの一月分くらいの金額だった。

「こんなに!? なんだか多くないですか?」

「ええ、上薬草とスライムゼリーが入ってたから金額が跳ね上がったのよ。正当な報酬だからちゃんと受け取ってね、それとも口座に預けておく?」

「あ、こ、口座に預けます!」

 こんな大金持って歩きたくないよ。


 上薬草ってのは合成した薬草のことだろうな。聞いたらアレ一つで薬草の10倍の値段みたいだ。薬草二つで上薬草一つ作れるなら5倍の利益だ。

 しかしこれでだいぶ余裕が出来たな。明日は休みにして調べ物でもするか‥‥‥。

 その夜、俺はいつもよりほんの少しだけリッチな晩飯を買って宿舎に帰った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 翌朝、俺は冒険者ギルドの資料室へ向かった。モンスターとかについてもよく調べなきゃな。


 ギルドの資料室は一日入場料を支払ったら閲覧し放題だから一日使っていろいろ調べよう。

 「モンスター学 入門編」「冒険者指南 水の巻」とりあえずこれをここで読んで頭に入れよう。


 まずはモンスター学から。

 ふむふむ、なるほど。これはためになる。それぞれのモンスターの特徴や弱点、ドロップアイテムや囲まれた時の対処法など様々書かれている。


 次は冒険者指南の方。冒険者の大先輩が書いたものらしいな。こちらは冒険者の戦闘、探索法、休息について、パーティーの相性、バランスについてなど多岐にわたる内容だ。

 これは参考になるけど読むのに時間がかかりそうだ。ちょくちょく来て少しずつ読み進めていこう。


 二つの資料を読んで気になったのが「サーチラット」と「ふくろスライム」だ。

 この二匹はドロップアイテムとしてそれぞれ「鑑定の魔術書」と「魔法バッグ」を落とす事があるらしい。ものすごいレアではあるようだけど。

 こいつらを狙って倒していくとしよう。


 普段読んでいない本を読みすぎて肩が凝ったし目が疲れた。

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