第5話 少し楽になってきた

 ご祝儀おこぼれをもらったので少し余裕が出来たのと怪我で休んでた給餌員の人が戻ってきたのでバイトのシフト時間を減らしてもらい、本来の冒険者の時間を増やそうと思った。


 隊長は例の飛竜の餌(上)を今までと同様に用意してくれればそのまま宿舎に住んでてもいいと許可してくれた。

 

 まだ借家とかも借りられないくらいに超絶にギリギリ生活なのだ。本来下級の冒険者なら宿屋暮らしになるところを宿代がかからないというのはホントにありがたい話だ。


「あら、アルくん。どうしたの? アルバイトをクビになったの?」

「あはは、違いますよ、アンナさん。シフト減らして冒険者活動を増やそうと思って。俺に出来そうな依頼とかありますかねぇ?」


「そうだったの、ごめんなさいね。ちょっと待ってねー」

 アンナさんはゴソゴソと書類を漁り始める。

「そうねぇ、Fランクだとこの辺かしらね」


 『薬草採取』か‥‥‥。

 駆け出しの冒険者と言えばみんなここからスタートするやつだな。

「これ、やりますよ。お願いします」


 こういう地味な仕事をして少しずつでも実績を重ねていかないとな。

「アルくん、えらい!! お姉さん、なでなでしたげる!」

「えへへ‥‥‥」

 アンナさんになでなでしてもらっちった。なんかわからないけどアンナさんには贖えない魅力というか何かあるんだよな‥‥‥。


 さて、気合を入れてやるか! 薬草探し。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 森に入って少しずつは見つけたけど、やはり効率は良くないなぁ。もっと効率よく集められるといいんだけどなぁ。


 今日の収穫は15本、常時依頼なので下限も上限もないし、失敗とかもない。この薬草、全部納めても良いんだけど合成の素材とかにならないかな?

 と、思って両手で一本ずつ握ったらまた聞こえた例の声。


 そこはもちろん【はい】だな。この声が聞こえた時はとりあえずやってみる事に決めた。


パシュッ!!


 両手の薬草が消滅し、俺の正面に別の薬草が現れた。見るからに品質が良さそうなのはわかるけど、細かい違いまでは俺にはわからない。誰かに鑑定してもらわないとだな。


 他にもいろいろあるかもしれない。探し回っていると毒消し草、麻痺消し草とそれぞれ5本ずつ採取出来た。これもちゃんと鑑定してもらおう。

 しかし鑑定代もギルドで割安とはいえバカにならないよな。自分で出来たら良いのにな。


 と、そこにモンスターが現れた。と言ってもスライムだけど。とりあえず足で踏んで押さえつけて核を狙ってナイフを突き刺す。ドロッと溶けるように形が崩れていき、キラキラと消滅していった。

 おっ! ラッキー、スライムの魔石とドロップアイテムは‥‥‥スライムゼリーかな?


 よしよし、討伐の方はなかなか順調だ。


 しかしこのスキルって実はものすごく使える気がするのだけど‥‥‥気のせいかな?

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