第4話 怒られそう?

 次の日の朝、カイン隊長に呼びだされた。

 きっと例の飛竜の餌の件なんだろうな。余計なことをしたとかで怒られなければいいのだけど。


 はっ!? 

 もしかしたらバイトクビもあり得るかも!?


 覚悟を決めてコンコンと隊長室のドアをノックする。


「入れ」

「失礼します。お呼びでしょうか?」


 隊長の神妙な顔‥‥‥やはり怒られるのだろうか? バイトもやっと慣れてきたのに‥‥‥。


「アル、何か隠してる事ないか?」

「はい? 何かマズい事態でもありましたでしょうか?」


 隊長の顔がほころぶ。

「あ、いやいや逆だ。飛竜達の調子が良いものだから何かしたのかと思ってな? 思い当たる事はないか?」

 良かった、怒られる案件ではなさそうだ。


 しかしどうしよう、正直に言うべきだろうか?


 ‥‥‥うん、言っとこ。隠して問題になってもまずいだろうし。

「あ、えっと‥‥‥、実は‥‥‥(かくかくしかじか)」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ほほう、なるほどな。そういう事だったのか。飛竜の機嫌がすこぶるみんな良くてな。訓練も捗るし、今後も可能であるなら是非とも続けてもらいたい」

「あの、何か問題とかは‥‥‥?」


「いや、別にないだろう。逆にアルの方で問題はないのか? 大量にスキルで作ったんだろう? 体調不良とかは‥‥‥」

「いえ、特には‥‥‥」

 多少は疲れたけどな、特に体調不良とかはない。


「そうか、ならばよし! 出来る限り続けてくれ」

「わかりました」


 俺は隊長室を出てきた。

 良かった、結果お咎め無しだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 後日、竜騎士隊合同のレースに出場し、我らが白薔薇竜騎士隊の飛竜たちが上位を独占したらしい。

 賞金がたくさん出たらしく、俺もご祝儀おこぼれをもらえた。生活費がカツカツだったので少し余裕が出来たのが本当にありがたかった。


 さらに祝勝会にも招待された。

「おお、来たな!! アルのおかげで表彰台を独占出来たぞ! ありがとな」

「いやいやそんな、皆さんの訓練の賜物でしょう」


 カイン隊長は大変にご機嫌だった。鎧を着てない姿は初めて見たな。服のセンスはアレだけど‥‥‥。


「いや、アルが来てくれてから飛竜達が格段に懐きやすくなった気がしないか?」

「私も思いました〜」「俺もー」


 他の隊員も話し出す。普段話した事ない人ばかりだから名前はわからない。


「ここのところ、飛竜と心が通じ合ってるみたいな感じしない?」

「「「わかるー!!」」」


「それこそ正に我々竜騎士隊の理想たる『人竜一体』というやつだな」

「「「隊長、カッコいいぃぃ!!」」」


 まぁ、みんな楽しそうで何よりだけど酔っ払いの相手は大変だった。

 まぁ嬉しいことだからいいか。

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