第2話 仕事は大変
来てしまったものは仕方がない。俺はドアを開けて建物に入った。
「こんにちはー」
「はい、こんにちは! 冒険者ギルドからの紹介の方かしら?」
おお、話が早い。さすがだな。
「はい、アルフレッドと申します。よろしくお願いします」
「ちょっと待っててね。隊長を呼んでくるわね」
受付のお姉さんは奥に行ってしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しばらくして入ってきたのは強面で身体の大きな人だった。
「おっ? お前か、バイト希望者ってのは?」
「は、はい! アルフレッドです。よろしくお願いします!!」
「オレは白薔薇竜騎士隊の隊長、カインだ。歩きながら説明するからついて来い」
隊長について歩いていく。
「お前に任せたいのは飛竜の世話だ。飛竜、知ってるよな? 普段あいつらの世話をしてる職員が怪我して来られなくなったから求人を出したんだ。ほら、ここだ」
案内されて着いた所には数頭の飛竜がいた。
「うおーっ! ホンモノの飛竜だ!!」
竜騎士隊といえば飛竜に乗って空を駆けるこの国の有名な部隊だ。この国の男子なら一度はみんな憧れるはずだ。もちろん俺もそうだった。
「おーい! ロザリー!? いるか?」
「はいはーい、いますよ、隊長。あっ、この人ですか? アルバイトの人‥‥‥」
奥から出てきたロザリーと呼ばれた人も綺麗な女性だった。長い緑の髪を後ろで一つにまとめている。ホーステイルって髪型だな。
「おう、よろしく教えてやってくれ」
「アイアイ、サー。ロザリーよ、よろしくね」
ロザリーさんが右手を差し出してきたので握手をする。
「よ、よろしく。ロザリーさん」
「ロザリーでいいわ。えーっと‥‥‥」
「アルフレッドです、アルと呼んでください」
「わかったわ。よろしく、アル。早速教えるからついてきて。あと敬語は要らないわ」
と、こうして竜騎士隊の給餌員の仕事に就いた。衛兵宿舎に住み込みで休みは月に6日(一月は30日)、まぁ給料もそこそこでまぁ生きていけるだろうって額だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
竜騎士隊給餌員の朝は早い。日が昇るかどうかくらいの時間から動き出す。まずは飛竜に餌をやる。今居る成体の飛竜は13頭、餌は決まったものを混ぜて出す。
その間に幼竜達にも餌だ。当然成竜とは違う餌。小さい飛竜が懸命に食べてる姿は可愛い。
食事が終わったら出るもんを出すからそれを掃除する。
当然臭い。が、仕事があるだけマシだと思い取り組む。
日が昇って明るくなってきたらそれぞれお出かけだ。練習、演習、近隣の哨戒偵察と飛竜たちもなかなか忙しいようだ。
昼に一旦帰ってきて昼の餌。そしてまた半数は出かける。残りの半数はブラッシングをかける。毛が生えているわけではないのだがこうすることで機嫌が良くなるらしい。
飛竜の半数が戻ってきて、残り半数が入れ替わりで出て行く。戻ってきた飛竜もブラッシング。
日が傾いてきたら同様に夕飯の用意をする。夜は気持ち少なめだけどな。
というのが毎日のだいたいの流れだ。
飛竜の糞とかは本当に臭い。
何故こんな事になったのだろうか?
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