第15話

 打ち上げで二日酔いになることもなく、それでもやはりなんだかアラームよりも一時間早く目が覚めてしまった。兄もやはり三十分も待たずに起きてきた。朝食を済ませ、しばらくテレビを見ていた。その間、兄はリビングと部屋を行ったり来たりしていた。

「じゃあ、そろそろ頼む」

「うん、行きますか」

 兄は一家の待つ家に戻っていくのである。駅まで送って行き、運転席から助手席の窓を開けたまま

「じゃあ、気を付けて。(今回は)ありがとう」

 と声をかけると、

「おお、そっちも無理すんなよ」

 ねぎらいの一言を告げて駅内に向かって行った。その背を一瞥してから私はハンドルを切って自宅に帰ることにした。

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