第二話 「運動神経をください」
目が覚めたら、隣に美少女がいる。
そんな状況になった時…普通の男の子だったら喜ぶのだろう。
だが生憎私は普通の子じゃないし、そもそも男の子ですらない。
だからこの状況が、ただただ恐怖でしかないのだ。
「えっ……えぇ…?…だれぇ……?もうやだぁ……」
情けない声が漏れる。
いやだって怖いじゃん。
路地裏で寝てただけだよ。
めっちゃ暗い路地裏だよ?
普通人いるわけないじゃん。
でさ、起きたら隣に美少女だよ?
怖いって。
絶対なんかあるって。
ちらっと横目で美少女をみる。
どうやら、美少女は眠っているようだ。
…起こさないようにそっと離れよ。
駆け足でその場を離れる。
随分長い間眠っていたみたいで、既に日は沈んでいた。
今活動しているのは街灯の明かりだけだ。
…よし。
今のうちにちょっと見て回ろう。
人がいなければ街なんて怖くない!
…よね。
「よ、よし…っ!がんばろ……!」
もう一度気合を入れ、歩き出した。
まずは看板見よう。
適当なお店を探して、看板を見上げる。
えぇっと。
「横線がいっぱい…と、ぐにゃぐにゃしてる線がいっぱい…え、なにこれ…」
文字…と言っていのか分からないけど、
その文字は凄く”線”だった。
こんな文字あったっけ…?
いや、そもそも文字を特定しようとするのが間違いなんだよね。
外国語だと英語しかわかんないんだからさ。
ということで、文字を見るのはダメだった。
じゃあ服で判断してみる?
いや人と関われないじゃん。
街並みは西洋風?だけど…
でも勝手なイメージだけど西洋って英語なんじゃないの?
あーもう分かんない!
思わずしゃがみ込む。
すると、後ろからか細い声が聞こえてきた。
「…⦿▤▶?」
「~~~~っ!?ごめんなさいいいい!!!」
暗くてよく見えなかったけど、
日本人じゃない。
うん。
逃げよう。
勢いよく立ち上がる。
膝が死んだ。
から、地面に手をつき、
思いっきり突き飛ばす。
反動で走り出せた…のはいいものの。
「ひざっ……膝がぁっ……!!」
膝の痛みに半泣きになる。
どうしてこう、私は運動ができないのかなぁ…!
自分の運動神経の悪さが恨めしい。
…けどもうしょうがないよね。
逃げるしかないし。
「あぁぁぁ…もう…!!!」
対して早くもない足を必死に動かす。
街灯の明かりを頼りにして、街の出口を探した。
…やっぱりさ、私に交流とか無理だ。
うん。
諦めよう。
そんでさっさとこの街から出ていこう。
家への帰り方なんてここじゃなくても見つかる!
よね…?
ちょっと揺らぎそうになる決意を胸に、夜の街を駆けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます