『Stray』2022年、ps5、迷子の猫が彷徨うのは、退廃した雰囲気漂うサイバーシティ。
今回は、猫が主人公のゲームを紹介します。
『Stray』2022年、ps5、CERO:B(12歳以上対象)、BlueTwelve Studio
緑豊かな土地で、野良猫たちは楽しそうに暮らしていました。しかし、ある日、その中の一匹が事故で足を滑らせ、大きな穴に落ちてしまいます。
迷子の猫が目を覚ますと、そこは暮らしていた場所のずっとずっと下。緑豊かだった土地に対して、そこに広がっているのは、退廃的でサイバーな街。人間の姿は一つもなく、代わりに人間の暮らしを模倣するようにロボットたちが暮らしています。
この世界に一体何が起こったのか、そもそも猫がいた元の場所はどこだったのか、そして猫は元の場所へ帰れるのか。
猫が主人公なので、序盤はキャラの台詞が一切ありません。もちろん、主人公の猫ちゃんが「ニャン」とは鳴いてくれますが、私には何を言っているのかわかりません(笑)。
落ちてきた場所からとりあえず進んでいくと、寂れた街が広がっており、さらに正体不明の小さな生物に追いかけられます。この生物は群れているのですが、見た目はなんというか丸く肉感的な感じで少々不気味です。そんな生物が襲いかかってくる場所を、意味がわからないまま突っ切ります。
敵を振り切って街を進んでいると、「HELP」の文字が看板に現れ、猫を誘導するように光っているのに気づきます。
私はこのあたりで、もしかして、誰かが猫を見ているのではないか?と気づきました。助けて欲しいのは、どちらかというと猫の方だと思うのですが、誰かも助けを求めている様子。
その先で出会うのが、猫の相棒となるドローンのB-12です。彼の台詞が、おそらくこのゲームにおける最初の台詞ではないかと。
彼とともに、猫は元いた場所を目指して、未知の場所を旅していきます。最終的には、猫を元いた場所に帰すことがゲームの目的になりますね。
B-12は、ロボットたちの言葉を訳してくれたり、ロボットたちと話をしてくれたり、暗いところでは明かりをつけてくれたりと、猫の旅を助けてくれます。
本作はパズルや謎解きで先に進んでいくアドベンチャーゲームです。猫を操作して、進める道を探したり、時には物を動かして道を切り開いていきます。
バトル要素はありませんが、前述した正体不明の敵に追いかけられることがあるため、敵の追跡をかいくぐる要素はあります。彼らを倒すことのできる道具は限定的にしか手に入らないので、基本は避けるか逃げる、という形になります。
退廃した都市をネオンサインが彩り、その中でロボットたちが暮らしていて、時にはネオンの光が地面に映り込む。3DCGで描かれる世界は寂しくも綺麗です。プレイしていて、自分自身もこの世界に迷い込んだ気分になれます。
猫なので、狭い所や高い所を歩けますし、意味もなく爪を研いだり、意味もなく寝ることもできます。ニャンと鳴く専用のボタンもあります。猫らしい気ままな旅が体験できるのが良いですね。
棚の上にある物をわざと落としたり、パソコンのキーボードの上を歩いてみたり、思わずいたずらがしたくなるといいますか、それくらい猫の動作がリアルで、操作していてとても可愛らしかったです。
それだけに、この子を頑張って元の場所に帰してあげるぞ!とやる気がでます。
本作は人間が出てきませんが、一体この世界で何があったのか、そもそも探索している街や猫がいた元の場所はなんなのか、ゲーム内の資料やロボットたちの会話を通して徐々に明らかになっていきます。ゲーム全体で度々出てくる敵の生物もちゃんと設定があり、世界観にも引き込まれました。
なお、本作、下水道というマップがあるのですが。そこが、大きな目玉のある敵がいくつも出てきて気持ち悪いです。大きな目が猫のことをじっと見てきます。肉感のあるビジュアルで少々グロテスクです。
あとは、プレイヤーが操作を誤ると猫が死んでしまうこともあります。文字通りゲームオーバーですね。この辺りの要素が苦手な方は、気をつけた方がいいかもしれません。
なお、ゲームオーバーになっても、すぐに直近のシーンからスタートできるので、リトライしやすく、ゲームをストレスなく進めやすくて良かったです。
ロボットたちは人間のように感情が豊かで、猫が寄ったり鳴いたりすると反応してくれます。中には可愛がってくれるロボットや協力してくれるロボットもいて、彼らの反応が微笑ましいです。
ゲームの謎解きはそんなに難しくないですし、B-12の記憶を集めるというちょっとした収集要素もあり、楽しめました。
個人的には、終わり方が結構好きなゲームです。寂しくも温かい素敵な終わり方だと思いました。
(参考サイト:プレイステーション公式サイト本作商品ページ)
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