第23話 病院

病院で目覚めた優は、脳震盪と診断された。

3日間の入院になるようだった。手続きは響さんがしてくれた。

(……なんの力にもなれてない)

それが余計、むなしかった。


すぐに仕事先に連絡しようとする優の代わりに、響さんが電話をかけることになる。

優も心配だったけど、その前に、優の仕事先の人に謝らなきゃと思った。

だから響さんのあとをついていこうとしたけど、優に手首をつかまれる。

「……傍にいてくれませんか?」

僕はそれが淋しいからだと思った。病気の時、自分がよくなるやつだと。

「でも謝らないと……」

「僕に謝ってもないのに?」

「!」

「……正直に言うと、今ここにいてほしいんです。傷つけるつもりはありません」

理由は別にあった。

その理由が、その時はわからなかった。


結局、優の眠るベッドの傍らに座り、僕達はずっと手を繋いでいた。

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