第4話 後悔

6歳の時、眉の形を変えてみた。

「お前なぁ、まだ早いだろ?」

父は苦笑した。

髪を右手で、くしゃくしゃにされた。


その半年後、父の眼鏡をこっそりかけてみた。

「お前、父さんが好きだなぁ。ほんと」

すぐに見つかって、取り返された。

でも父は、どこか嬉しそうだった。


僕は、父になろうとし続けた。

駄目なことじゃないって思ったから。


でも……。


「実は、実に……なってね」

それが交通事故の時、車の中で、僕を守って亡くなった母の遺言だった。


ふたりが亡くなってから、僕は後悔した。


母が嫌いだったわけじゃない。

なのに父に近づこうとして……。

結果、母を傷つけてきたんじゃないかって。

なのに最期まで僕を愛して守ってくれた。


その全身で。

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