第3話 なりたかった自分

何もできないまま高校を卒業し、今は19で無職だ。

やろうとしたことは殆どに、チャレンジできなかった。

それが周りの優しさ、好意だとわかるから、いつの間にか拒絶もしなくなって、よく笑っていた。

楽しかったから笑っていたのではない。

苦しくて笑っていたのだ。


心の中の努力したいという願いも情熱も、だんだん薄れていって、今はマンションでひとり暮らし。

……と言っても、ここは101号室で102号室に幼馴染の優がいる。

家族はどうした? と思うだろう。

それも、原因のひとつである。


両親は、僕が7つの時に交通事故で他界した。


母はモデルだった。僕も同じ性別なら、母のように髪を長くして、優遇された人生だっただろう。同じ髪型をすれば、僕は母にそっくりだから。

父は理系眼鏡男子って感じ、めっちゃカッコよくて……。

父似に生まれたかったし、なろうとした。

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