第1話  ダンジョン変形 1



俺は家の近くのダンジョンの入口に着くとカメラを起動して配信を始める。


「え〜ダンジョン探索者の鴻田義久です。

本日も多摩川奥地底ダンジョンに潜っていきます。」



:底辺配信者乙www

:装備めっちゃボロい

:今日も人気ないのに配信ご苦労様です


はぁ……


 ここ最近の同接数は良くて一桁悪くて0。

 しかもたちの悪いアンチがすぐに湧くから見に来た人もすぐに出て行ってしまう。


「前の方にスライムがいますね。核を潰して仕留めて行きます」


 いつの間にかアンチすら居なくなり俺が独りで喋っているだけになった。

 そうして配信しているうちに2時間ほど経ち、

今日の食費400円ぐらいになりそうなスライムからのドロップ品(粘性のある水)とダンジョン内の香草を取ることができた。

 


「今日の配信はここまでにします」


そう俺が言ったとき……




ゴゴゴゴッ ガラガラッ


 という大きな音と共にダンジョンが大きく揺れ、俺のいた地面に亀裂が入り瓦礫とともに下に落ちてしまった。


「痛った……、ッこれダンジョン変形か」


 だとしたら非常に不味い。


 地下型のダンジョンは稀に変形と言い中の構造が変化することがある。


 本当に稀にしか起こらないし、起こる前は地鳴りといった前兆があるが、小さな規模の変形だと前兆がないこともある。

 小さいと言ってもこうして上層にいた俺が中層に落ちてしまったわけだが。


 切っていなかった配信を見ると数人の人が見ていた。


:えっ、なんか流れてた配信見たら事故配信?

:不運すぎる

:前兆無しの小規模変形かこれ

:今調べたら多摩川奥ダンジョン変形終わるまで封鎖らしいぞ


「はぁ!?まじかよ!

俺中にいるのに閉鎖とかふざけんなよ!?」


:配信切って死に待ち

:アドバイスのしようがない……

:どうするんだこれ……

:管理機関に通報はしたけどどうにもならんか……


『グルルルッガルッ』


 さっと後ろを振り向くと中層の魔物ハウンドウルフの群れがいる。

 一匹一匹が2メートルぐらいある巨大な魔物だ。


「くそっ、何で俺がこんな目に合わなきゃなんねえんだよっ」


 俺が全力で走って逃げている間にもハウンドウルフの群れはどんどん迫って来ている。


『グルグルガウッ』


 あと少しで追いつかれるという時に前方に変型中の細い通路が見えた。

間一髪で通路に滑り込み息をつく。


『ヴルルルルルガウッ』


 ハウンドウルフは通路の入口でこちらに向かって吠えている。

 座り込んで向き合っていると、だんだん通路の変形が進んで広がってきた。


 このままだといずれ通路がハウンドウルフが通れるぐらいに広がり襲われてしまう。

 休む暇すらない。


「ここで戦うしかないか……」


 ハウンドウルフが通路に入れている鼻先にめがけて持っているダガーとハンマーを振り下ろす。


『ギャンッ ヴルルルル』


 鼻先を斬りつけるとさらに怒り狂って噛みかかってきた。

 先程までは格下の獲物をいたぶるような雰囲気だったのが、今では届かないところから攻撃した俺を完全に殺そうとしているのが分かる。


 通路が広がってきたのもありハウンドウルフが肩まで入ってきた。


ガチンッ


 俺のすぐ前で鋭い牙が噛み合わされる音がする。

 これ以上入って来られては負けてしまう。

 通路がまだ狭く身動きが取れない今がチャンスだ。


「おらっ」


 左手でハンマーを振るってハウンドウルフに噛みつかせる。


ガリガリガリッ


 ハンマーの硬い金属が削れる音がした。

 口が塞がっている隙に右手に持つダガーでハウンドウルフの首を切り裂く。


ザシュッ


 気持ち悪い感覚がして眼の前のハウンドウルフが動かなくなった。

 俺はその奥にいる他のハウンドウルフを追い払うために魔物よけのアイテムを使った。

 ピリピリとする悪臭と煙が広がり、ハウンドウルフたちが逃げていった。


「やっと倒せた……ここからどうしようか」


 ハウンドウルフは牙をドロップして消えた。

 ただ、今のダンジョンに閉じ込められている状況が改善したわけではない。


 通路の外に出るとまた魔物に襲われる危険があるため、できたばかりの通路の奥に進むことにした。




―――――――

ここまで読んでくださりありがとうございます!

♥や応援コメントを頂けるととてもモチベが上がります。


また、鶏ももにとって初のダンジョン小説です。

小説を書き始めて間もないこともあり誤字や

書き方が間違えているかもしれません。


もし見つけたらコメントで教えてくださると助かります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る