第31話 エピローグ
糞ゴリラは、糞が異常に硬くて臭いだけで身体自体は普通の哺乳類だった。手足は根本から切り落とし、残りの部分はその場に捨て置いた。人間の惨殺死体に見えるのであまりいじりたくなかったのだ。
もしもこの先の探索で瀕死の重傷を負うと、また糞ゴリラ退治をしないといけないというのは気が滅入る。幸い、2階にいる糞ゴリラは1頭だけだった。糞ゴリラのいた階段左手は500m四方くらいのブロックで、初回で怯んで引き返した階段右手の2kmは細長い通路で、本当は3階まであと少しだった。
2階はボスエリア、という趣きだったのだ。
だとすると万年筆はそのドロップトロフィーということで、恐らくマジックアイテムだろうが、発動条件が分からなければ結局ただのトロフィーだ。
3階にいく階段の踊り場は冷気が薄れているどころか照明がガストーチに戻っている。青顎の肉の火で糞ゴリラの腕を焼き、グミ以外の食事を味わいながら、残った骨の肉をこそぎ、ここにきて初めて40cmもある硬い棒を手に入れた。
骨の加工は3階で落ち着いたら行うことにして、私は踊り場で一眠りした。
この時点で3階には糞ゴリラより恐ろしい敵が待ち構えている、というのは予想していたが、その能力は全く予期しない物だった。
まして、3階の構造など想像する術はなかった。
以上が2階までを初めて踏破した思い出だ。
これを読んでいる君がまだ1階から出たことがないのなら、これをヒントに頑張ってくれたまえ。
迷宮ファウンドフッテージ 中埜長治 @borisbadenov85
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