第27話 手段
買い物カゴに加えて土嚢袋も拾ったことで、持ち運ぶゴミの量が前回の2倍近くになっている。
ゴミを運びながら息を止めたり、指を鳴らしたり、歯軋りや口笛を吹いてみるが、息を止めてる時に浮力を得る以外は何も起きない。
銀目玉を割って作ったガラスのナイフと先割れスプーン、安全靴以外、武器らしい武器はない。浮いて糞ゴリラをやり過ごす以外思いつかない。
先割れスプーンで青顎を刺し殺し、死体から刃と毛を剥がしてみるが糞ゴリラに対抗する手段が思い浮かばない。電気柵に投げつけても燃えたり爆発したりしないのだから青顎の体液が武器になるとも思えない。
体液は臭いし肌につけば痒いが武器になるほどの毒性じゃない。刃もメスみたいに小さいので奇襲以外これで自分より大きい敵を殺すのは無理だろう。
とりあえず肉を焼けば食糧にならないだろうか。グミの見つかる量が少なすぎるので、青顎が食糧になるならもう少し余裕ができる。
所持品の端っこを組み合わせた長い棒でガストーチの火を取り、青顎の毛を燃やして肉を焼いてみようとした時だった。
ボッという音とともに、青顎の肉の表面が透明な炎で覆われる。どうやら肉が揮発油を含んでるらしい。毛はすぐチリチリと燃え尽きて灰になったが、肉は表面が泡立つと肉の量から想像もつかない熱い炎をあげて燃えだし、近寄るのも危険な状態になった。
電気柵に投げつけても燃えなかったのは点火源が無かったからか、青顎を始末した後燃えるまで待って無かったかららしい。
とても食糧にはならないが、糞ゴリラにナパームをお見舞いしてやれるかもしれない。
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