第23話 4度目

夢だったのだろうか。


今ならあれは現実だと確信して言えるが「やり直し」慣れてない頃はよくそんなことを思った。


夢でないなら、私は内臓破裂から生還したということで、改めて「監視者」の医療技術の高さを思い知らされる。


今度は琥珀をイメージしたであろう、飴色のうねりが塗装された石造りの通路だった。デパートにこんなのあったな。


腕や腹に痛みはないし、凍傷などもない。空腹感もなく渇きもない。


ただ、多分、コンクリートの時の1階に相当する場所に放り出されたのはわかる。風は一方向に吹いている。


作ったものも、拾ったものも、全部取られた。ツナギを脱いで見ると驚いたことに肌着の上に黒シャツを着ている。青顎に切り刻まれたはずなのに。「監視者」はこの初期装備には執拗なこだわりがあるらしい。やたらと頑丈な防刃ツナギももしかしたら「監視者」が着せたかもしれない。


ツナギを着直してポケットを探ってみる。


砂粒が入ってるのはまだわかるが、青白いレシートの切れ端が出てきた。


確かに捨てたはずだ。


これは私が拉致される前に持っていたものではなく、「監視者」が用意したものなのか?意図的に?何かに使うのか?水をかけたら暗号が浮かび上がるとかか?


今度は捨てずに持って行こうと、元々入ってた尻ポケットではなく、チャック付きの胸ポケットにしまった。

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