第6話 初期装備
花崗岩にしろ緑青にしろ、天井のガストーチ以外に石ころ一つ、棒切れ一つ落ちていない通路だった。特に緑青は襲撃を受けるまで1km近く歩いたというのに何もなかった。
「敵」を撃退するには今持ってる物でどうにかするしかない。
ツナギのポケットにはなんらかのレシートの一部だったろう、青白い紙片と砂しか入ってないのでゴミを通路に放り捨てる。
ツナギを脱ぐと、サイズオーバーな黒いTシャツ、肌着の緑色のTシャツ、青い半ズボン、赤褐色に黒の唐草模様トランクス、といった出立だった。
ツナギを肌に直接着るのは気分として憚られたので、黒Tシャツと半ズボンを脱いで「道具」の候補にする。
靴はどうか。黒い合皮で覆った硬い靴で、長距離歩くのには向いてなさそうだが、何やら重たいのでこれだけで鈍器になりそうだ。
つま先を触るとゴムや合皮と違う硬い感触がある。鉄板が入ってる。安全靴だ。ツナギといい安全靴といい仕事中に拉致されたのか。
何も落ちてないから足を怪我する心配はない。靴下で歩こう。
黒Tシャツの頭側を結んだ袋に靴の右足を入れて布フレイル、左足はツナギのポケットにつっこみ間合いを詰められた時の盾兼棍棒にする。
「敵」が同じ奴かはわからないが、首筋を狙われるので半ズボンはツナギの襟首に詰める。
やれるだけのことはやった。
再び「左手の法則」に従い歩き出す。
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