第3話 やり直し

目が覚めると、顔が写るほど磨かれたタイル。

幅3m、高さ3mの通路。

これは変わらないが、今度のタイルは花崗岩ではなく、緑青(ろくしょう)の色の知らない石材でできていた。


相変わらず、風は一方方向に流れている。

どうやら換気扇を守ってるフェンスは電気柵で、私は感電して失神、また別のところに運ばれたようだ。


失神するほどの電流を食らったら火傷の一つもありそうだが、怪我はない。


これで明らかになったことがある。

私は事故でここにいるのではない。

何者かに連れて来られた。

そいつは私を監視している。

そしてそいつは私の記憶も奪った。


なぜ場所を変えたのかまでは分からないが、実験を続ける気なのは確かだ。


風上に行って同じ換気扇と電気柵があるかを確かめ、そこから外に出る方法を探るのも良いが、感電したら電気柵から離されたということは「監視者」は風上に行くことを望んでいない。逆らっても恐らく別の障害やトラップがあるだろう。


「なあ!何させたいのかぐらい言ってくれないかな!」


いるはずの「監視者」に向かって怒鳴るが返事はない。

とりあえず積極的に殺す気はないようなので、今度は風下に行ってみよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る