第4話闇鍋ガチャ十連
「それでこのガチャの贄はやっぱ死体だったりなのか?」
レイシスが落ち着くのを待って話を戻す。
よく見るとまだ少し目が腫れている。
「えっとそうです。基本的には捧げられた死体もしくは素材に応じて得られるであろう
「魂力ってのは?」
「この世界にあるすべてのものに宿っている力、それを魂力といいます!このラルシスの世界にあるものは魂力を大なり小なり必ず持っており、その中でも生物の死体は魂力の塊とも言えます!」
「じゃあこの石もか?」
地面に落ちてあった石ころを拾い上げレイシスに見せてみる。
それを見てレイシスはコクリと首を縦に振る。
「はい。ただ、そういった生命を宿していないものは極端にもらえるポイントが低いです。希少な鉱石などはまた違ってきますが……―――そうですね、この世界では希少であれば希少であるほど貰えるポイントが多くなります。その点でいえば一人一人の見た目も個性も性格も違う人間の死体などは多くのポイントが貰えます。ザックリ言えば人一人の死体でガチャが一連分ですね!」
「う~ん、それが多いのか少ないのかわからないな……」
「とても多いですよ!例えば今、
「あ~そう言われれば確かに多いな」
レイシスの話を聞く限りやはり人間を殺すことが
レイシスが送ってきた質問を思い返してみてもそのような質問を確かにしていた。
人を殺す、その覚悟を決めなければならないかもしれないな。
直人が一人考えているとひょこっとレイシスが顔を覗いてきた。
「直人様?」
「ん?どうしたレイシス?」
「あ、いえ、大丈夫です。それよりも実は初回限定サービスといいますか、せっかく直人様が協力的になってくれましたのに裸でこの戦場にお送りするのは忍びないので私のなけなしの神力で十連分だけ引けるようにしました。ぜひ引いてください!」
「まじか!」
正直すごくありがたい!ここがどこかもわかないのに裸一つで送り出されても死ぬだけだったろうしガチャの排出率や何が出るのかだけでもわかるのはとても助かる。
「それではいきますよぉ~!!!」
そう言ってレイシスがテーブルに手を当てるとテーブルが
「おお~」
確かにスマホゲームのガチャシステムのようだ。
「おお~まあまあいい結果じゃないですか!」
「そうなのか?」
「はい!各ランクは色で分けられていてGが白色、Fが青色、Eが黄色、Dが赤色、Cが緑色、Bが銀色、Aが金色、Sが虹色になります!そして今回の排出は白が三つに青三つ、赤と緑が一つずつに金色がなんと二つ!幸先がとてもいいですよ!」
たったの十連でA二枚抜きか、確率はそこまで悪くはないのか?
とりあえず低ランクのものから中身を見ていく。
「触れれば中身が見れるのか?」
「はい!そうですよ!」
白色三つに触れてみる。
すると脳内にどこからか声が聞こえだす。
【
【目黒直人はゴブリン召喚石を×4獲得しました】
【目黒直人はゴブリン召喚石を×1獲得しました】
アナウンスのように単調な声で今獲得したものを淡々と告げられていく。
「なんか頭に直接声がしたんだが……気分悪くなってきた……」
「あっ、えっとそれは管理者の声ですね。気分が悪くなった理由は多分体と脳がまだこの世界に適応できていないからでしょうね」
「そう、なのか……」
アナウンスが頭に響くと車酔いに似た気持ち悪さが襲いうまく立っていられない。
ここが洞窟であるせいで空気も悪いのか余計に気分が悪くなる。
「とりあえず私が直人様の体を安定させますね」
そう言ってレイシスは直人の頭の上に乗ると小さく光りだす。
すると体の気持ち悪さがスーと消えていきぽわぽわとした暖かさが体を包みこむ。
「どうでしょうか?」
「ふ~とてもよくなった。ありがとう、レイシス」
「いえいえお役にたてて何よりです!それより白からは何が出たんです?」
「あ~ゴブリンが合わせて七体でた」
「はずれですね~まあ白なんてそんなもんですよ!次は青に行きましょう!」
はやく!はやく!と髪の毛を引っ張りながら頭の上で急かすレイシス。
とりあえず痛いから髪を引っ張るな。
目を輝かせて急かし続けるので気を取り直して青色の光に触れてみる。
案の定レイシスの言っていた管理者の声が聞こえたがレイシスのおかげか今回は気持ち悪さは襲ってこない。
【目黒直人はゴブリンアーチャー召喚石を×2獲得しました】
【目黒直人はFランクスキル:精力増強を獲得しました】
【目黒直人は素材:グラスウルフの牙を獲得しました】
手に入れたアイテムを見て改めてこのガチャは闇鍋であると思い知らされる。
魔物に素材にスキル、まじでいろいろと混ざりすぎだと思う。
「おっ!スキルを獲得しましたね!」
「スキルって言っても精力増強だぞ?使いどころが限られすぎだろ」
「そうですかね?もし女性を捕まえられれば孕ませ放題ですよ!」
ズッコンバッコンです!と頭の上で卑猥な言葉を叫ぶ妖精を物理的に黙らせDランクとCランクの中身を確認する。
【目黒直人はゴブリンチャンピオン召喚石を×1獲得しました】
【目黒直人は素材:ミスリル×10g獲得しました】
「まじか、ミスリルって異世界の作品でよく見る最高峰の武具素材だよな?つっても今一番いらないぞ……」
「ええ、そうですね。実はミスリルはCランクの中でも破格のアイテムなんですけど今は必要ないですよね……運がいいのか悪いのかわかりませんね」
「本当にな。まあいつか使う時が来るかもだからな、気を取り直してラスト金行くか」
「はい!」
最後に残った金色に光る光源に触るすると一つが突然強い光を放ち虹色の光に変化する。
「――――!!!!すっっっっご――――いっ!!!!すごいすごい!!すっごいですよ!直人様すごいです!」
すごいしか語彙がなくなったレイシスがぴょんぴょんと直人の頭で跳ね回る。
「そんなにすごいもんなのか?いやすごいのはわかるが」
「そりゃすごいに決まってるじゃないですか!!ガチャでいういわゆる昇格演出です!確率としては宝くじの二等に当たったくらいすごいです!」
「二等ってまた中途半端だがまあすごいことだけはわかった、さて開けるぞ」
【目黒直人はAランクスキル:魅惑の瞳を獲得しました】
【目黒直人はSランクスキル:
「ふむ、二つともスキルか。ただ名前からして戦闘系スキルではなさそうだな」
「はい、そうですね。でも高ランクのスキルです!この二つはとんでもないスキルのはずですよ!!」
「そうなのか?」
「多分!!!」
「多分かよ……」
「はい!とりあえず確認してみましょう!ステータスと呟いてみてください!」
レイシスに言われるがままステータスと呟くと目の前にゲームでよく見るような半透明のホログラムのような板が現れる。
そこには自身の名前と種族やステータス、獲得しているスキルなどが書かれている。
「見せていただいてもいいですか?」
「ん?おう」
許可を求めなくても頭の上にいるのだから見れるだろうと思ったがどうもこちらが許可したのと同時にホログラム板のウィンドウに「レイシスの閲覧を許可しました」という通知が流れたため許可しないとこのステータスは他人には見えないようだ。
改めて頭の上にいるレイシスと一緒にステータスを見てみる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:目黒直人 種族:ゴブリン? 年齢:エラー 職業:なし 状態:エ*ー
称号:異世界の人間、女神の契約者、未来の王
スキル:精力増強 魅惑の瞳 感情鑑定 異種交配
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ステータス、低いですね……」
「言うな、悲しくなる」
ステータスのことはとりあえず置いといて気になる項目がいくつもある。
まず種族と年齢、種族がゴブリン
考えても仕方がないのでレイシスに尋ねてみる。
「なあ種族がゴブリン
「えっとですね……多分ですけど私が無理やりこちらに連れてきてしまったため表記がバグっちゃったんだと思います。年齢と状態もそのせいだと思います!」
「これって見た目に変化はあるのか?」
自分の視点からは特に変わりないように思える。体に何かしらの変化があるわけでもないし、体調も変化はないはずだが……。
「あ、えっと私の視点からは変化はないです。ただこの世界の人間視点だと直人様のことをゴブリンというか魔物だと認識すると思います。」
「それはどういうことだ?」
「そうですね、本当は私、直人様のことを召喚する際にゴブリンの肉体で召喚されるように準備していたのですが私の力が足りなかったせいか直人様を不完全な状態で召喚してしまったためゴブリンとしての肉体と直人様自身の肉体が合わさった状態で召喚されてしまったみたいで……」
もし正規のルートでの召喚だった場合はゴブリンとしてこちらに来ていたってわけか。
何とかそうならずに済んだのは助かったがステータスが低いのはそのためか?
「ん?じゃあこの世界の人間からはゴブリンに見えるってのはどういうことだ?」
「えっとですね。直人様や私からは人間に見えるのですがさっきも言ったように直人様の肉体はゴブリンと合わさってしまったためそう見えちゃうんです。多分ですけどこちらの世界の人からは直人様のことを人間サイズの巨大なゴブリンに見えてしまうと思います。もし鑑定妨害のスキルだったり認識阻害のスキルを使えばバレないとは思いますが……」
「あ~そういうことか」
近いうち必ず人間と殺しあうことになるだろう。なら鑑定妨害や認識阻害のスキルは早めに獲得しないといけないな。
「じゃあ次はスキルか」
「スキルの確認はスキル欄にある確認にしたいスキルに触れれば確認できますよ!」
レイシスに言われるがままに試してみると詳細説明が現れた。
【魅惑の瞳:相手の好感値を上げることができる。このスキルは相手のステータス、体力、精神力に比例して効果量が変わる。また異性に対しては能力の効果量に変動あり】
【感情鑑定:相手の感情を鑑定することができる】
「「……」」
名前からして戦闘に役立つスキル出ないことはわかっていた。けど最高ランクのはずなのにこのなんとも言えないスキルはどうなのよ。
「と、とりあえず
「ま、まあそうだな。それでどうやって使えばいいんだ?」
「多分ですけど鑑定って付いているので鑑定と使い方は同じだと思うんですよね。ですので使い方としては見たい対象に対し片目を二回瞬きすれば確認できると思いますよ!まずは私に試してみてください!」
そう言ってレイシスは直人の頭から離れるとテーブル立って見せる。
レイシスに言われた通りに片目を二回瞬きするとステータス画面に似たやけにピンク色な画面が現れた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:フレイヤ=フェール=ラルシス 種族:? 年齢:エラー 職業:なし
称号:創■主 ?*者 蠢ォ讌ス繧定イェ繧九b縺ョ 隕?視
スキル:創造 鑑定不可 閲覧不可
感情:敬愛 SAN値:なし 従順度:100%
状態:良好 妊娠回数:0 弱点:不明
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「文字化けがひどいな……」
「あ~私は特別ですからね!鑑定できただけでもすごいですよ!この世界で私のことを見れるのも直人様か私の力を奪った神くらいですから!」
言ってレイシスは自信満々で胸を張っている。
それにしても感情鑑定、このスキルが最高ランクはちょっとひどいぞ……
感情鑑定はその名の通り相手がこちらのことをどう思っているのかとかの感情を読み取るだけのスキルのようだ。鑑定を持っていないのでわからないが鑑定と同じ使い方なのなら鑑定とさほどランクは変わらないはず……。
その考えは合っていてようでレイシスがボソッと残念な報告を告げる。
「えっと……これが最高、ランク?」
レイシスもさすがに困惑しているらしい、一人で小首をかしげている。
「やっぱり弱いのか?」
「えっとですね。このスキル、鑑定では見ることのできない情報を見ることができるんですけど普通Sランクのスキルは獲得したものにとっての切り札みたいな強力なスキルなんです!けどこのスキルはそれが見当たらないんです!私がランク付けするならCランクが妥当だと思います!」
「まじか……」
自然とため息が出る。
最高ランクのスキルが出て運はいい方なんだがむしろ最高ランクなのに女神お墨付きのCランク認定はさすがに堪える。
もしかしたら別の能力があるかもしれないので他の方法で調査しようとしたとき急にレイシスが騒ぎ始めた。
「た、たいへん!たいへんです、直人様!!」
「ど、どうした、レイシス?」
「た、たいへんなんです!侵入者が!この洞窟に侵入者が入ってきました!」
「はあっ~!?」
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