第15話 秀吉切腹

上杉謙信と織田家臣団の戦いは、北陸で繰り広げられていた。


ここは織田家臣団の陣中。


柴田「上杉謙信、強いっ。さすがは戦国の生きた伝説」


秀吉「動物でいうとクマくらい強いですね」


柴田「いや、ライオンじゃない?」


秀吉「クマのほうが強いじゃないですか」


柴田「ライオンが一番強いんだよ。習ったしょ」


秀吉「クマですよ。しかもシロクマ」


柴田「ライオンは百獣の王だよ」


秀吉「だってシロクマって、天敵いないんですよ」


柴田「それは氷ばっかりのとこに住んでるからでしょ」


秀吉「氷とかそういう自然が一番の強敵なんです」


柴田「ライオンはキングだよ。『ライオンキング』っていうミュージカルあるしょ」


秀吉「『かってにシロクマ』っていう漫画もありますよ」


柴田「何それ。弱そうじゃん」


秀吉「そんなことないです。じゃあ、信長さんに判定してもらいましょう」


柴田「おう」




秀吉は京都の信長に電話をかけた。


秀吉「聞いてください。柴田さんが『かってにシロクマ』をバカにするんです」


信長「待て、サル。ぜんぜん意味がわからない」


秀吉「ですよね。バカにする意味がわかりませんよね?」


信長「いや……」


秀吉「それが聞ければ十分です。じゃ」


信長「あ、おいっ。いくさの状況は?」




秀吉は電話を切った。




秀吉「信長さんも『かってにシロクマ』派でしたよ」


柴田「マジ? そんなに面白いの?」


秀吉「長浜の城に全巻ありますから、持って来ますよ」


柴田「え。今?」


秀吉「はい」


柴田「今は戦闘中だから、ダメだよ」


秀吉「そんなこと言って、負けを認めないつもりですね」


柴田「そうじゃなくて」


秀吉「今すぐ取ってきます。それじゃ!」


柴田「勝手に戦線離脱したら、信長さんに怒られるぞ。……行っちゃった」




秀吉は柴田勝家との口論が原因で、北陸戦線を勝手に離脱した。

信長はこれに激怒し、秀吉を呼びつけた。




京都。


信長「なんで勝手に戦場から離脱したのさ」


秀吉「いえ、本を取りにちょっと……」


信長「こんな軍律違反、前代未聞だよ。切腹しろ」


秀吉「えっ?えぇ!?」


信長「日時はおって指示する。それまで自宅待機」


秀吉「そんなぁ……(涙)」




信長は秀吉に切腹を言い渡した。




街の声。


民衆1「秀吉が切腹を命じられたらしいよ」


民衆2「え、その人、けっこう順調に出世してた人だよね?」


民衆1「うん」


民衆2「なんで急に切腹なの?」


民衆1「柴田勝家といざこざがあって、勝手に戦線を離脱したんだってさ」


民衆2「感情に足をとられて出世競争から脱落ってわけね」


民衆1「そういうこと」




西暦1577年。

秀吉は切腹までのあいだ自宅謹慎を命じられた。

人生最大の危機を前にして、彼は意外な行動に出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る