第6話 稲葉山城攻略
秀吉は信長に叱られた。
信長「ホントに宣戦布告したの!?」
秀吉「は、はい。まずかったっすか?」
信長「まずいに決まってるしょ! どうしておれにちゃんと聞いてからやらないのさ~」
秀吉「すいません」
信長「せっかく斉藤さんといい関係を保ってたのに。あ~ぁ。織田家が滅びたらサルのせいだからね!」
秀吉「宣戦布告、取り消してきます」
信長「今さら遅いよ。こうなったら、もうとことん戦うしかないね」
西暦1567年。
信長は軍勢を率い、斉藤氏の城(稲葉山城)を攻撃した。
その戦闘中、秀吉は……
兵士「大将」
秀吉「……」
兵士「大将」
秀吉「ん。ああ」
兵士「なにボーッとしてるんですか?」
秀吉「いや、ちょっとね」
兵士「もう戦闘、始まってますよ」
秀吉「うん」
兵士「どうかしたんですか?」
秀吉「ちょっとへこんでるんだよね」
兵士「どうして?」
秀吉「信長さんに怒られちゃって」
兵士「過ぎたことは仕方ないですよ」
秀吉「まあね」
兵士「気分を切り替えて、さ、戦いましょう」
秀吉「う、うん」
ここは、稲葉山城を攻撃する信長の本陣。
信長「やべぇ。柴田、やべぇ」
柴田「はい」
信長「稲葉山城、ぜんぜん落ちない」
柴田「てごわいですね」
信長「1回、退く?」
柴田「退いたら再起は不可能ですよ」
信長「そうか……」
柴田「ここで勝たなきゃ未来はありません」
信長「どうやったら勝てる?」
柴田「なんとかして敵を混乱させることができればいいんですが」
信長「その方法は?」
柴田「すみません、ちょっと思いつきません」
そのころ。
信長の指揮下で稲葉山城を攻撃中の秀吉は……
秀吉「ダメだ」
兵士「なにがですか?」
秀吉「気分が切り替えられない!」
兵士「まだ気にしてるんですか? 叱られたこと」
秀吉「やっぱり斉藤さんに謝ってこよう」
兵士「今さらなんて謝るんですか」
秀吉「『あの宣戦布告はナシです。ごめんね』って」
兵士「もう遅いですよ」
秀吉「つきあって」
兵士「え?」
秀吉「謝りに行くの、つきあって」
兵士「なんで僕が」
秀吉「いいでしょ。お願い。ね」
兵士「しょうがないですね。じゃ、行きますか」
秀吉「あ、待って。そっちじゃないよ」
兵士「え、でも稲葉山城はこっちですよ」
秀吉「そっちは正門でしょ。正門から行くのは恥ずかしいから、裏門から行こう」
一方、ここは斉藤氏の稲葉山城。
その裏門のようす。
斉藤一族1「裏門の警備ってさ、おれら二人だけ?」
斉藤一族2「うん」
斉藤一族1「すごく手薄じゃない?」
斉藤一族2「この裏門は山道からしか来られないから、敵は攻めてこないよ」
斉藤一族1「とかいって、攻めてきたら笑うね」
斉藤一族2「あ、誰か来た」
斉藤一族1「げっ。あれは織田家の大将だ!」
斉藤一族2「攻めてきた~!」
秀吉「いや、敵意はないんです。ちょっと謝りたいだけで」
斉藤一族1 あたふた(汗)
斉藤一族2 おろおろ(汗)
秀吉「ダメだ。完全にパニックになって全然話を聞いてくれない」
西暦1567年9月。
秀吉はわずか7人の仲間を連れて、稲葉山城の裏門に姿をあらわした。
これにより斉藤氏は大混乱に陥った。
この混乱が連鎖して斉藤軍は統制を失い、稲葉山城は陥落した。
後日…
ここは信長の屋敷。
信長「サル、なかなかやるね~!」
秀吉「えへへ」
信長「おかげで岐阜県がおれのものになったよ」
秀吉「おめでとうございます」
と、そのとき。
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
信長「ん。誰だろう?」
秀吉「誰でしょうねぇ」
西暦1568年のこの訪問者が、信長と秀吉の人生を大きく狂わせる。
つづく
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