第7話 織田信長が室町幕府を再興する
西暦1568年。
織田家にひとりの訪問者があらわれた。
訪問者は『将軍』を名乗った。
将軍「おっす。おれ、将軍」
信長「は、はじめまして」
将軍「君がうわさの信長だね。よろしく」
信長「将軍様って武士の中で一番えらいんですよね?」
将軍「えらいよ」
信長「うわー。サインもらっていいっすか?」
将軍「いいよ」
信長「この色紙に書いてください」
将軍「オッケー」
大将軍!足利義昭!(自称)
信長「ん? 思いっきり『自称』って入ってますけど」
将軍「あ、うん」
信長「自称なんですか?」
将軍「まあね」
信長「……」
将軍「ていうか、おれ、中央政界から追い出されてさ」
信長「そうでしたか」
将軍「いつか返り咲いて、正式な将軍になりたいのさ」
信長「それで?」
将軍「それで、きみのところに来たの」
信長「?」
将軍「今きみってさ、一番勢いのある戦国武将でしょ」
信長「え、そうっすか? えへへ」
将軍「どうせ一発屋だろうけどw」
信長「……」
将軍「まぁとにかく、おれの手足になって働いてよ」
信長「手足……」
将軍「で、おれを中央政界に復帰させてや。頼むよ、兄弟」
信長「そんな勝手なこと言われても」
将軍「でさ、風呂どこ? 風呂」
信長「むこうです」
将軍「ちょっと入ってくるわ」
自称将軍は風呂へと消えた。
残った信長と秀吉は……
信長「むかつく人だなぁ」
秀吉「やっつけますか?」
信長「どうやって?」
秀吉「そうですね~。まくら投げなんてどうです?」
信長「まくら投げ?」
秀吉「将軍様をまくら投げに誘って、2人で集中攻撃するんですよ」
信長「まくら投げなんて、断られるよ」
秀吉「断れない雰囲気に持っていけばいいんです」
信長「どうやってさ」
秀吉「将軍様を修学旅行に誘うんです」
信長「は?」
秀吉「修学旅行なら、まくら投げして当然な空気でしょ」
信長「いやいや。いきなり修学旅行って…」
秀吉「まかせてください」
そこへ、風呂から上がった自称将軍(足利義昭)がやってきた。
将軍「二人でなに話してたの?」
秀吉「いや、ちょっと」
将軍「いま、チラッと修学旅行って聞こえたんだけど」
秀吉「はい。まぁ」
将軍「おれたちもう大人だけど、修学旅行の気分で旅に出るのも、いいよねぇ」
秀吉「本当ですか!」
将軍「行きたいなぁ~、旅行」
秀吉「じゃあ、行きましょう。早速あした出発ということで」
将軍「おっけ~」
その夜。
信長と秀吉は、将軍様を罠にかけたと思って、上機嫌だった。
秀吉「やりましたね、信長さん」
信長「やったね、サル」
秀吉「これで将軍様をやっつけられますよ」
信長「うん」
翌日。
自称将軍は秀吉にたずねた。
将軍「で、旅行って、どこに行くのさ」
秀吉「まあ、どこでもいいんですけど」
将軍「でも、修学旅行といえば、やっぱり京都だよねぇ」
秀吉「じゃあ、そうしますか」
信長、秀吉、自称将軍らは、京都旅行に出発した。
その頃、京都では……
京都の武将1「あのね、噂なんだけどね、おれたちが追放した自称将軍、いるしょ」
京都の武将2「ああ、足利義昭ね」
京都の武将1「あいつ今日、京都に戻ってくるらしいよ」
京都の武将2「ホント? 懲りないねぇ。また追い払ってやろう」
京都の武将1「いや、それがね、織田信長と一緒に来るらしいのさ」
京都の武将2「信長!?」
京都の武将1「うん」
京都の武将2「静岡の今川を撃退して、岐阜の斉藤を滅ぼした、あの信長?」
京都の武将1「そう」
京都の武将2「やばいじゃん」
京都の武将1「信長は敵に回したくないよね」
京都の武将2「自称将軍め、強いやつを味方につけたなぁ」
京都の武将1「とにかく、今は自称将軍のご機嫌をとっておこう」
京都の武将2「それには、どうしたらいいかな?」
京都の武将1「そりゃ、彼を正式な将軍にしてあげるのが一番でしょ」
こうして、西暦1568年。
自称将軍(足利義昭)は、信長の後ろ盾で、正式に室町幕府15代将軍に就任した。
信長と秀吉は……
信長「ちょっとぉ~、サルぅ~」
秀吉「は、はい」
信長「将軍様をやっつけるどころかさぁ、おれ、うまく利用されちゃったしょ~!」
秀吉「す、すいません」
信長「もー、将軍様むかつくー」
秀吉「むかつきますね、はい」
信長「むかついたから、おれ、将軍様よりも偉い人になってやる」
秀吉「えっ」
信長「今から、日本の歴史はおれが牛耳る」
秀吉「おぉ~」
信長「サルにもバンバン働いてもらうよ」
このときから日本史は信長を中心に回り始める。
同時に、秀吉は信長の出す数々の無理難題に悩まされることになる。
豊臣秀吉~歴史が苦手でもスラスラ読める伝記~ あーりー @toritamagox
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