有刺鉄線ダークネス
釣ール
誤算だらけのいのち
頭の中にノイズが走る。
そもそも頭って人間で考えたらのはなしだろ?
なんで、こんな余計なものまで…痛覚?そんなものオレにあるはずがない!!
夏の熱さなんて産まれたてのオレにはわからない。
そもそも捨てられた端末から調べるとオレは
『
というらしい。
人間サイズまで有刺鉄線とよばれるオレの身体はかたまっていき、そして手や足が生えて人間の言語も入っている。
分析を開始してそこまで時間は立っていない。
日本のゴミ処理場にオレの仲間である他の有刺鉄線が周囲の安全のために危険な仲間をはりめぐらせている。
どこまでいっても人間は保身というやつかエゴというやつには勝てないらしい。
何もかも信じられない時に使うのは痛みを必ずあたえる
その顔でSNSってやつを使い自分をけずる。
しあわせ、仲間、家族、金、子ども、愛、異性…なんの関係もないいち有刺鉄線からすれば同じことを違う形で紹介して格差を産んでるだけだ。
『ふうん。ぶんせきかんりょう。どうやらここはジゴクらしい』
用がなくてさびた有刺鉄線は『守ってくれてありがとう』とすら言われずにただゴミとして捨てられ、しあわせで金を稼ぐための道具でインフラなスマートフォン達も簡単に捨てられオレを産みだした。
そもそも人間のことだ。
わざと捨てた可能性の方が高い。
もっとも有刺鉄線とAI技術?かなんだか知らないがそれらを組み合わせるなんて想像までは出来ないところが人間と言ったところか。
別に人間を見下してもいないし尊敬もしていない。
ただひとつ言えるのは好きで産まれたわけじゃないって話なだけだ。
『さあてどうしようかねえ。セキュリティをしらべたらオレがいきていることがバレる。そうしたらマッドサイエンティストにあれこれけんきゅうされることはまちがいない、か』
脱出を考えるよりも海の近くに立てられているゴミ処理場と仲間の有刺鉄線近くを飛び回る鳥と呼ばれる生き物達の感覚のギャップ差に気が抜けてしまった。
『なかまはいるがいしそつうはこんなん。そもそもあるいてはなせるユーシテッセンなんざオレだけか。う~~んコドクとはさみしいものだ』
オレを産んだ端末から調べたら結果、人間の美人女性が動物と会話ができるとテレビで話していても有刺鉄線であるオレがガチで話しかけたら権威の限りを使ってつぶそうとするだろう。
監視カメラにつかまらないよう、鳥に運んでもらえるようたのんで小さなさびた有刺鉄線を演じる。
身体のサイズは
だが外に出られるかはわからない。
まあどっちでもいいけどねオレは。
外に出ても人間からは新品でも嫌われる有刺鉄線であり、ここにいればそのままさびてとけるまで放置されるだけ。
人間ともしゃべれるが、長年さびた有刺鉄線として生きてきたからか動物や植物とも付き合いがあるただの金属でただのゴミ。
未来なんてないさ。
オレを産みだした端末を調べた限りでもどの国でもどんな生命体も産まれた時から全てが決まっている。
シンプルにそれだけだ。
しかし差別も行なわれ、つまらない金の使い方に生きるためを理由に暴力は行なわれたすえに有刺鉄線などオレたちは造られた。
幸いなことにコミュニケーションはオレには必要がない。
仲間達が新品でメンテナンスを毎回行われているからって嫉妬もしないし、どうせ交換されるなんておどしもするつもりもない。
だって分かってるよなあお前ら。
意思が宿ってないだけでただそのままでいることに何も思わないし感じないだろう?
オレたちが「元は何で出来ていたのか?」なんて疑問を
はああ。
語れば語るほどゴミ処理場を鳥に運ばせて出るか出ないか迷うのも気の毒だ。
あと、オレたちを勝手に作った人間から別の人間に別のいのちを歩かされるのも
豚に真珠っておまえら人間に使われることばだぜ。
ありもしない能力に繰り返す歴史。
改善するにもきれい事は言えないと何人見捨てたよ。
だからしあわせの為に誰かと一緒にいて気を使ったり
いのちをもち、他のいのちをいただく以上はたいしたものなんて永遠に理解もできずに苦しむのがふつうなのかもしれない。
別に説教じゃねえ。
運んでもらってる鳥に『人間についてモノ視点で語って』と言われたから海に落としてもらう前にかたよった情報から判断したオレの意見を聞いてもらっているだけだ。
もうここでいい。
さびた有刺鉄線が鳥の巣になるために運ばれてる途中に落とされる。
複雑な過程で産まれたオレがシンプルな理由でくちるシナリオだ。
って落とすの速いぞ!
でもそれもなっとく。
引力ってやつにさからえず風圧がやってきて海へ向かっていく。
幸い岩だとかよけいな物がない海
あばよ人間の遺産。
もうここにようはない。
もともとさびてたし蛇に足が生えただけのいのちだった。
海へ落ちた時も痛みはないはずなのにどこか折れた自分の身体が見えなくなった時にあせってしまった。
人間じゃなくて良かった。
それだけ安心して海の底へ落ちる、落ちる。
落ちていく。
有刺鉄線ダークネス 釣ール @pixixy1O
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます