へんじがないただのしかばねのようだ

あめはしつつじ

はい

 おお、勇者マタカよ。

 死んでしまうとは、なさけない……。


 蘇り。目の前に現れた王、死の支配者デスルーラーの顔を覗く。

 (またか)

 勇者マタカは、そう思った。

 (もう、うんざりだ)


 王に向かって、その気持ちを吐露したかった。だが、

 呪われた装備。

 口卜クチパクの剣が、それを許さなかった。

 どれほど、声を吐こうとしても、

 おーの口と、真一文字を、いったりきたり。

 鯉のように、ぱくぱくと。

 俎上の鯉。王の命ずるがまま、また。


 そなたにもういちど、きかいをあたえよう!


▷はい

 いいえ


▶︎はい

 いいえ


 勇者マタカは、またかまたかと、まだかまだかと、旅を続ける。




 魔王の城。

 ついに、目の前に現れた、魔王の顔を覗く。


 よく来たな、勇者マタカよ。

 わしが、0おう0おうnull0ヌルオーじゃ。

 わしは待っておった。お前のようなものが来ることを。

 もし、お前が、わしのものになれば、

 おお、勇者マタカよ! 世界の半分を、お前にやろう。

 魔王null0ヌルオーは右手を差し出す。


▷はい

 いいえ


 はい

▷いいえ


 はい

▶︎いいえ


 そうか、世界の半分は、必要ないと、

 ぬらば! お前が、選ぶことのなかった、

 こちらの方の世界の半分を、お前にやろう。

 魔王null0ヌルオーは左手を差し出す。


▷はい

 いいえ


 はい

▷いいえ


 はい

▶︎いいえ


 そうか、こちらの世界の半分は、必要ないと。

 ぬらば! こちらの方の世界の半分を、お前にやろう。

 魔王null0ヌルオーは右手を差し出す。


▷はい

 いいえ


 はい

▷いいえ


 はい

▶︎いいえ


 そうか、こちらの世界の半分は、必要ないと。

 ぬらば! こちらの方の世界の半分を、お前にやろう。

 魔王null0ヌルオーは左手を差し出す。


▷はい

 いいえ


 はい

▷いいえ


 はい

▶︎いいえ


 そうか、こちらの世界の半分は、必要ないと。

 ぬらば! こちらの方の世界の半分を、お前にやろう。

 魔王null0ヌルオーは右手を差し出す。


 (またか)


▷はい

 いいえ


▶︎はい

 いいえ


 良い良い、わしは宵を、お前は、明けを。

 半分ずつ、半分ずつ。世界を支配しよう。


 勇者マタカは、魔王null0ヌルオーから、

 世界の半分をもらった。




 魔王null0ヌルオーは右手を差し出す。


 勇者マタカよ、世界の半分をわしによこし、

 お前は、二度と、蘇ることなく、


 灰は灰に、塵は塵に。

 永遠の眠りにつくか?


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


 (あれ、選択肢が、)


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


(半分しか、)


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▷はい


▶︎はい


























































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