亞里亞限定

 俺から見た莉愛さんは、とても大人っぽい人だ。

 まず顔立ちがあまりにも美人顔だし、スタイルは大人顔負けでとにかく胸が大きい!

 性格も優しくて料理も出来て、その他の家事もバッチリだ。

 ふとした時の仕草であったりお風呂でのやり取りだったり……とにかくこんな子供は居ないだろって、子供の俺でさえそう思うくらいなんだ。

 けど、そんな彼女にも子供っぽい所はあった。


「……むにゃ」


 亞里亞さんたちに用があるのでずっと西園寺家に居るのだが、既に莉愛さんは夢の中だ。

 隣に座る彼女は、俺の肩に頭を預けるようにして眠っている。

 この時代を生きる魔女である彼女も、こうしていれば俺たちと同じただの人間にしか見えない……いや、普通にしていても同じ人間にしか見えないけどな。


「……九時かぁ」


 夜も段々と遅くなり、もう九時になってしまった。

 ちゃんと帰ってくるはずとは言われてるけど、このまま更に遅くなったらどうしようか……。


「……え?」


 そんな風に少しだけ不安になっていたその時だ。

 突然に俺の視線の先が光を放ちだし、その眩しさに目を伏せる……そして、明らかに人の気配が増えた。


「あら、刀祢?」

「え? お父さん!?」

「二人とも……」


 視線を戻したそこには、スーツ姿の亞里亞さんと世那さんが居た。

 どこかのオフィスに勤めていそうな出来る女を再現する二人……ここまでキッチリした姿は新鮮だけど、だからこそその真面目な服装から見える体の凹凸に目が向いてしまう。


「っ……」

「ふふっ、エッチなんだから刀祢は」

「お父さんったら……もう♪」


 照れた俺にそんなことを言った二人は、あろうことかニヤリと笑って胸元に手を当て……そのままパチッとボタンを外していく。

 そうして露になる豊満な谷間と、双丘を守る赤と黒の下着もバッチリと見えていた。


「ちょっと!?」

「あぁ……このやり取りも懐かしいわね♪」

「そうだねぇ。あの時のお父さんははしたないことは止めなさいって怒ったけど」


 自分の娘がそんなことしてきたらそりゃ怒るよな!?

 でも分かることもあって……たぶんその時の俺は、亞里亞さんには絶対に怒ったりせず、むしろもっと見せてほしいとか言ったんじゃ……。


「世那は娘だから怒っていたけれど、私には言わなかったわ。むしろ見せてくれって寝室に連れ込んで、たっぷりと揉んできたのよ?」

「っ……」


 的中だと!? いやそれよりも更にレベルが高かったが!?


「……亞里亞さん、胸の黒子あるんだ……はっ!?」

「あら、エッチなあなたなら覚えてくれていると思ったけど」

「お父さん! あたしはお尻に黒子あるよ!」


 あぁうん……世那さんはちょっと黙ろうか。

 なんだか一周周って落ち着いてきたというか……別にかつての自分を取り戻したってわけじゃないけど、何故か本当に落ち着いた。


「すぴぃ……むにゃ~……」


 こんなに騒がしくしてるのに隣の莉愛さんは起きないし……この子もこの子で大物だよなぁ。


「莉愛は寝るのが早いし、一度寝たら朝まで起きないわよ?」

「そうなんですか?」

「うん。だから一夜かけてのエッチは莉愛とは厳しいかも」


 だから世那さん……はぁ、もういいや。

 その後、莉愛さんは魔法によって体を浮かされてそのまま部屋まで連れて行かれ、亞里亞さんと世那さんは何故か着替えていた。


「そ、その服装は……」

「魔女としての姿であり、あなたが好きだった服よ」

「私も母さんのお古をもらったの。どうかな?」

「……………」


 もう完全に俺を興奮させて食いに来てるよね?

 そう言わんばかりの服装にため息すらも出ず、食い入るように亞里亞さんばかりを見つめてしまう。

 もちろん世那さんも凄くエロいんだ……エロいんだけど、何故か俺の視線は亞里亞さんに固定されて動かない。


「やっぱ母さんには勝てないかぁ」

「当然でしょう? 私の存在そのものが刀祢の好みだし、それは生まれ変わっても変わらないの。刀祢が今の刀祢として生まれ落ちた時点で、また私を好きになる運命だったのよ」

「悔しいけどそれは思っちゃうなぁ……でも、私だってお父さんのことすっごく好きだもんね!」


 ……色々と話をされている中で申し訳ないんだが、俺は二人の胸元が気になって仕方ない。

 というのも、そこは一体どうなってる?

 胸を包み込むように黒く薄い布があるのは分かるんだが、胸の中央部分というデリケートな場所を隠している暖簾のようなものは何?


「気になるの?」

「え?」

「確かめても良いわよ? ほら」

「……………」


 その言葉に突き動かされるように、決して豊かな膨らみに触れないように手を伸ばし……その垂れ幕のような部分を持ち上げた。

 すると当然、そこにあったのはぷっくらと膨らむ先端。

 俺はサッと手を離し、平常心を保つように深呼吸をする……ちなみにそんな俺を二人はクスクスと楽し気に笑っていた。


「……前世の俺、なんて罪深い奴なんだ」

「正直だっただけよ。それに好きな男性にエッチだと思われるのは女として嬉しいこと……あなたが求めてくれるたびに、私は生きているんだって実感出来たくらいだもの」

「あ~あ……ほんとに羨ましいよねぇ。見た目もほぼそっくりなのに、お父さんは私に全然欲情なんて……ちょっとしてたけど、それでも鋼の理性持っちゃってるんだもん」

「いやそれは父親として当然では……」

「私は襲ってほしかったの! 魔女なんだから近親相姦なんて珍しくないのに、お父さんはずっと常識に囚われてたんだから!」

「諦めて刀祢。この子はこれだから」


 ……はい。

 さてと、視界に広がる性的な暴力の本流を受け流す……ことは出来ないのだが、早速本題に入りたい。


「その……俺がここに居るのは理由があるんです」

「言ってみて」

「お父さんのためなら何でもするよ」


 ……ていうか今気付いたけど、もう完全にお父さん呼びなんだな。


「俺の大事な友人が最近寝れてないみたいなんだ……それで、莉愛さんに似た女性に殺される夢を見てるんだって」

「……へぇ?」

「ふ~ん……?」

「ただの不眠症って可能性もあるし、俺なんかが考えるより素直に病院に行った方が良いかもしれない……でも、夢ってなると俺にとっちゃ身近なモノに感じられてさ……それに、莉愛さんに似た人ってなると気になったんだ」


 俺の話を聞いた後、二人はまさかと表情を険しくした。

 詳しい話を聞いたわけじゃないが、その時点で何かがあるんだろうなと察しが付く……そして、今から翔に会いに行くことになった。

 突然ではあったけど、友人の大事だし早く解決したいから俺は即座に頷いたんだ。

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